2019 年 9 月 7 日 のアーカイブ

大友美有紀 19年9月7日放送


額縁の話 歴史

西洋の額縁は、祭壇画から始まったと言われている。
絵板に描かれた宗教画を取り囲む画枠には、
装飾が施され、庇のようなものが備わっていることもある。
これには、ほこり除けの意味もあったようだ。
日本の額縁は、もともと神社や仏閣の「名」を彫り込んだ
横長の扁額(へんがく)で、
書を篆刻(てんこく)した木の板の縁に、
装飾を彫り込んだものが原型と言われる。

西洋でも東洋でも額縁が「祈り」の場から誕生したことは
とても興味深い。


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大友美有紀 19年9月7日放送


額縁の話 タベルナクル額縁

左右に柱があり、土台と破風を持った、
聖堂のファサードのような形をした額縁がある。
タベルナクル額縁、という。
タベルナクルは、建築用語で聖人像を置く
壁のくぼみを指す。
ルネサンス期にイタリアで、様々な様式が発展した額縁だ。
植物の連続模様や、渦巻き装飾が施され、時には金も使われていた。
描かれた肖像画を「聖なるもの」として周囲の家具から
区別していたとされる。

ただの豪奢なインテリアではない、
役割があったのだ。


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大友美有紀 19年9月7日放送


額縁の話 サンソヴィーノ額縁

建築物のような額縁、タベルナクル額縁の中でも、
一風変わった額縁がある。
サンソヴィーノ額縁、という。
ロンドン、ナショナル・ギャラリーのコレクションにある
「聖ヒロエニムスのいる風景」が飾られている額縁だ。
建物の屋根のような大胆な天辺の外枠の装飾、
下辺も両隅の外に突出している。
左右には柱の代わりに女性の胸像があしらわれている。
サンソヴィーノとは、ヴェネツイアの建築家の名で、
サン・マルコ図書館や造幣局を手がけた人物。

しかし、彼の作品とサンソヴィーノ額縁との
関連は見出せないという。
不思議な額縁の不思議なお話。


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大友美有紀 19年9月7日放送


額縁の話 箱型額縁

16世紀になるとイタリアでは
「カセッタ」と呼ばれる額縁がポピュラーになる。
かセッタはイタリア語で「小箱」。
その名の通り箱型の額縁だ。
凹凸の少ない、幅の広い画枠が特徴で、
そこに装飾が施されている。
上塗りをかき削って、下地の金メッキを見せるように
模様を描いたスグラッフィートという技法がよく使われる。
箱型額縁は基本的にシンプルなデザイン。
けれども外縁の細工はとても細やかだ。
たとえばブリューゲルの「東方三博士の礼拝」が飾られていた
箱型額縁は、クルミ材で作られ、
外縁がカールするように立ち上がっている。
細部には金メッキで細かい模様が施されている。

ブリューゲルがそう望んだのか定かではないが、
控えめながら荘厳に絵を縁取っている。


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大友美有紀 19年9月7日放送


額縁の話 オランダの額縁

17世紀のフランドル派とされる作品に、
「絵画を陳列した部屋の鑑定家たち」がある。
文字通り、部屋いっぱいに絵が飾られている。
絵画もさることながら、
さまざまなタイプの額縁を見ることができる。
当時この地方で人気のあった額縁だろう。
登場人物の一人が手元に小さな絵を持っている。
その額縁にはシャッターが取り付けられている。
持ち歩く際に絵を保護するためと、
シャッターを開いて絵を見せた時の驚きを楽しむためだろう。

海外の美術館を訪れる際は、
額縁にも注目してみたい。


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