小野麻利江 19年12月29日放送


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年の瀬のはなし  俳人と年の暮れ

ちび墨と 我とありけり 年の暮

幸田露伴が詠んだ、年の瀬にまつわる一句。
1年の終わりを、静かに過ごす様子が目に浮かぶ。

しかし、この時期に家族親戚が
集まることも多い我が国。
露伴の句のように静謐な時間を
手に入れることは、中々に難しく。

夏目漱石の場合。
 やかましき 姑健なり 年の暮

尾崎紅葉の場合。
 癇癪よ 小言よ金よ 年の暮

服部嵐雪の場合。
 いづれもの 猫なで声に 年の暮 

そんな状況に置かれると、
もはや自分ひとりの手に負えず、
ままよ、とう気持ちになるもの。

小林一茶の場合。
 ともかくも あなたまかせの 年の暮

松尾芭蕉の場合。
 なりにけり なりのけりまで 年の暮

そんな年の暮の
人の心のあり方を、
正岡子規は、冷静でいて
どこかあたたかな眼差しで、
このように詠んでいる。

 人間を 笑ふが如し 年の暮

さて、令和元年も、そろそろ終わり。

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