2009 年 5 月 10 日 のアーカイブ

保持壮太郎 09年5月10日放送



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ロナルド・レーガン




ロナルド・レーガンのように
生きていけたら、と、思う。

でも、それは、
大統領になってみたいとか
講演先のホテルの前で
暗殺されかけたいとかいう話では、
もちろんなくて。

ただ、
心臓をかすめた
22口径の弾丸が
まだ胸の中にあるようなときでも
手術を執刀する医師たちにむかって

 キミたちがみんな、共和党員であることを願うよ

なんて言って笑った
あの日のロナルド・レーガンのように。
やさしく、つよく、生きていけたら、と、思う。


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イマヌエル・カント




平凡な男がいて、
平凡な日常があった。

5時起床。
紅茶を2杯飲み、
タバコを吸う。
7時から9時まで仕事。
昼まで執筆。
午後1時から
3時間の昼食。
食事はこの1度きり。
そして、散歩へ。
グレーのマントに
籐のステッキで、
菩提樹の並木道を4往復。
帰宅後は読書と執筆。
そのまま10時に就寝。
いつもどおりの寝間着で、
いつもどおりの鼻呼吸で、
いつもどおりの室温14度で。

哲学者、
イマヌエル・カントの日常は
そんな毎日のくり返しだった。

非凡な発想は、
平凡な日々の中で生まれた。






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ジェイムズ・ボズウェル




ユーモアはタダだ。
ユーモアはCO2を出さない。
人類が、ユーモアという素敵な装置を
発明したおかげで、
世界は以前より幾分か平和になった。

1755年。
世界ではじめての英語辞典に、
サミュエル・ジョンソンは
こんな記述をした。

 カラスムギ:
 穀物の一種であり、
 イングランドでは馬のエサ。
 スコットランドでは人の主食となる


彼は根っからのスコットランド人嫌いだった。

これを見た
ジョンソンの弟子、
スコットランド人のジェイムズ・ボズウェルは
すかさず反論した。

 カラスムギ:
 穀物の一種であり、
 イングランドでは馬のエサ。
 スコットランドでは人の主食となる。
 ゆえに、イングランドは馬が優秀で、
 スコットランドは人が優れている


ユーモアに勝る武器は、ない。きっと。






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鳥山明



“娯楽”という
言葉の意味を問われたら、
鳥山明の言葉を返そう。

彼は、
ドラゴンボールという
作品について
こう語った。

 何かがピューッて、
 もの凄いスピードで走って来て、
 何かに当たってパーンとはじけ飛ぶ、といった動きね。
 そして、次はいったいどうなるんだろうか、って、
 どんどんページをめくっていって、読み終わったら、
 ワッハッハって、元気に外へ遊びに
 飛び出して行けるような作品をね、
 ぼくたちも作ってみたいなあと考えたんです


That’s entertainment.





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フレッド・アステア


物語はいつも
想像の、
少し外側から
やってくる。

110年前の今日、
ネブラスカ州に生まれた
ひとりのダンサー。

彼は33才のときに、
ハリウッドのスタジオで
オーディションを受けた。
けれども、結果はさんざんで。
ディレクターのメモには、
こう書かれていたという。

 唄はダメ。演技もダメ。髪は薄く、ダンスはまあまあ

そんなダンサーが
まさか20世紀を代表する
映画スターになるなんてこと、
そのときは誰も、想像していなかっただろう。
おそらくは、本人も。

偉大なる名優、
フレッド・アステアの物語は、
こうしてはじまった。



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濱田庄司




ひょい、ひょい
と、こきみよく
大皿の上でひしゃくが踊り
釉薬が生き生きとした
流れを描きだしてゆく。

ほんの15秒ほどで
またひとつ、
あらたな名作が生まれた。

陶芸家、濱田庄司の
そんな仕事ぶりを見て
ひとは言う。

 ひとつの作品に、
 たった15秒しか
 かけないなんて
 物足りなくないのか


と。
けれども彼は、
首をふった。

 15秒ではなく、
 15秒と60年ですよ


そしてひとは、
極めることの
意味と、尊さを知る。



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シド・ヴィシャス




英雄と呼ぶには、
粗暴で。

カリスマと呼ぶには
不安定過ぎて。

結局、
彼を上手に褒める言葉を
見つけられないまま
サヨナラを言うハメに
なった僕たちだけど。

生きていれば
今日、52歳になるはずだった
シド・ヴィシャスの歌う“My Way“は、
あいかわらずヘタクソで、
あいかわらずイカしている。




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パーシヴァル・ローウェル


1895年。
宇宙にちょっとした
事件がおこった。

パーシヴァル・ローウェルという名の
アマチュア天文学者が出版した一冊の本。
その中で彼は、
火星には無数の運河があること。
その運河は知的生命の存在を
裏付けるものだという説を発表した。

赤茶けたその惑星は、
いちやく“スター”になった。

その後100年かけて
人類は、
火星に運河なんてないこと、
火星人なんていないことを
一つひとつ
おお真面目に証明していったけれど。

いまだに火星は、
木星や金星や
何なら太陽なんかも押しのけて。
僕たちの宇宙の真ん中で
キラキラと輝いている。






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