小野麻利江 12年6月17日放送

C Simmons
夫婦のはなし 小川糸

作家・小川糸は、
いつの頃からかなんとなく、
ペンギンと暮らしてみたいと
思うようになっていた。

鳥なのに空を飛べなくて、
ぽってりとしたおなかが愛らしい、
そんなペンギンと。

でもじっさい、
東京でペンギンと暮らすのは、むずかしい。

そう思っていたら、
ペンギンによく似た生き物を、
すぐ近くでみつけた。

いっしょに暮らす、歳の離れた夫。

こうして小川の夫は、
ペンギンになってしまった。

 もうすぐ、ペンギンが帰ってくる。
 お魚が食べたいらしいので、
 マグロのヅケと、酢で〆た鯵を用意した。


きょうも小川は、
自分と、そしてペンギンのために、
楽しそうに、料理をつくる。




夫婦のはなし 向井千秋と向井万起男

両肩に力を入れて生きている女性をみると、
おちょくり、からかいたくなる。

慶應の大学病院で働く医師・向井万起男には、
そんなくせがあった。

その彼が、男まさりでよく笑う、
内藤千秋という後輩をからかった。
彼女はいつしか万起男の親友になり、
一番の親友が女なら、そんじゃ、結婚するしかないな、
という感じで結婚を決めたころ、
内藤千秋は、宇宙飛行士に選ばれた。
日本初の女性宇宙飛行士・向井千秋である。

宇宙を目指しひとりでどんどん進んで行く千秋は、
長い別居生活もいとわない。
こんな妙な女と結婚したのも、運命。
万起男も観念した様子だった。

しかし千秋は、万起男の性格をよくわかっていた。

 マキオちゃんは寂しがり屋だから、ひとりで生きてなんていけないって。
 マキオちゃんは再婚しなきゃだめよ。


1994年7月8日、
いつもの明るい笑顔で宇宙に飛び出した千秋。
発射場の特等席には、
彼女のミッション成功を真剣に願う、万起男の姿があった。

タグ:

«    »

topへ

コメントをどうぞ

CAPTCHA



login