蛭田瑞穂 12年9月8日放送


kazutan3@YCC
作家が暮らした家④澁澤龍彦

1966年、作家澁澤龍彦は北鎌倉に家を建てた。
施工にあたって澁澤は建築家に次のような要望を伝えたという。

一、当世流行にのらざること。
二、材料、仕上げ、色彩などできるだけ制限し、華美にならざること。
三、人間空間、クラシック家具及び調度に耐えられるインテリア。
四、ただし食事や衛生のための諸設備は、最新の便利さを存すること。
五、総じて古いものへの郷愁に陥らず、そのよさを再発見し、
  さらに新しいものを正当に評価すること。

完成したのは、明治の洋館風の建物。
薄いミントグリーンの外壁が鎌倉の緑に美しく映えた。

この家で澁澤は亡くなるまでの21年間を過ごした。
澁澤の亡き後も、書斎や応接間は妻によって生前のまま保たれ、
本の並びから鉛筆削りの位置まで、何ひとつ変わっていないという。

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