2012 年 9 月 15 日 のアーカイブ

大友美有紀 12年9月15日放送


なお
伊豆諸島「島の言葉」

秋のこの時期、敬老の日をはさんだ連休を
「シルバーウイーク」と呼ぶことがある。

今年のシルバーウイークは、少し短い。
遠くへ行くのは無理かもしれないが、
近くの島へ行くのはどうだろう。
伊豆大島。調布の飛行場からなら、30分ほどで到着する。
泳ぐには少し遅いけれど、温泉もある、ハイキングも楽しめる。
有名な「波浮の港」もある。

 磯の鵜の鳥ゃ 日暮れにゃ帰る

 波浮の港にゃ 夕焼け小焼け
 明日の日和は

 ヤレホンニサ 凪るやら

昭和3年にヒットした野口雨情作詞の歌謡曲。
しかし、実際の波浮港は、島の南東にある。
海沈む夕陽は見えないという。
行ってみなければ、わからない。
そういうことだ。

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大友美有紀 12年9月15日放送


kumi
伊豆諸島「島の言葉」新島

伊豆七島の一つ、新島へは、
調布の飛行場から40分ほど、
竹芝からは、ジェット船で3時間弱で行ける。
東京に住むサーファーにとっては、
世界で一番近いサーフィンの聖地だと言える。
新島はまた、コーガ石の産地でもある。
火山噴火の水蒸気爆発でできたスポンジ状の軽石で、
主成分は黒雲母流紋岩(くろうんもりゅうもんがん)。
新島とイタリア・シチリア島のあたりだけで産出する。
この石で作られたのが、モヤイ像だ。
実は、イースター島のモアイ像とは何の関係もない。

 古くから新島では「共同して仕事に当たる」ことを「モヤイ」と呼ぶ。
 「モヤイ合う」とは助けあうこと。

昭和59年新島村から蒲田商店街に贈られた「モヤイ像」。
現在では青森県西津軽郡深浦町で、その由来ともに見ることができる。

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大友美有紀 12年9月15日放送



伊豆諸島「島の言葉」三宅島

2000年、三宅島の中心にそびえる雄山(おやま)が噴火した。
そして全島避難。その後も火山ガスの放出が続き、
島民は島に帰ることが出来なくなった。
避難指示の解除が出たのは、2005年。
現在でも三宅村役場では、
毎日火山ガスの放出量を観測し、発表している。
復興の一端を担うネイチャーツアーの主催者の
ホームページには、こう書かれている。

 三宅島は約21年周期で噴火が繰り返されています。
 噴火のたびに緑は失われますが、少しづつ再生していきます。
 その噴火から森が再生する過程を簡単に目の当たりにできるのは
 三宅島だけです。

復興の道のりは、自然の再生とともにある。
竹芝から夜行旅客船に乗れば、朝には三宅島に到着する。

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大友美有紀 12年9月15日放送



伊豆諸島「島の言葉」八丈島

伊豆七島のなかで大島に続いて大きな、八丈島。
黒潮に囲まれ、太古から漂流・漂着、そして流人が
その歴史をつくってきた。
名産品のひとつに黄八丈がある。
室町時代のから続く伝統の手織り絹織物。
八丈島の草木を使い、黄、樺、黒に染め上げた絹糸を使う。
八丈とは、もともと2反の長さを八丈に織り上げた絹織物の呼び方。
そして八丈島の名の由来も、この織物から来ているという。
江戸時代の国学者、本居宣長が『玉勝間』にしるしている。

 伊豆の沖にある八丈が島というところも、
 昔この絹を織りだしたので島の名にもなったのに違いない。

八丈島にはその他にも、八丈太鼓、二重の玉石垣、焼酎など、
島の外から流れ着き、定着したものが多くある。
そしてダイビングスポットや、温泉、八丈富士と三原山、
自然の醍醐味も味わえる。
もちろん黒潮の恵みである魚も楽しめる。
南国リゾートの楽しみと、和の味わい、大自然、
そして古来からの伝統。
八丈島までは、羽田から1時間弱だ。

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大友美有紀 12年9月15日放送



伊豆諸島「島の言葉」御蔵島

切り立った断崖、周囲16キロの小さな島、御蔵島(みくらじま)。
東京から約200キロ、三宅島の南18キロに位置する。
そして、大変珍しいことに、
島のごく近い浅瀬に、野生のイルカが棲息している。
10月末までイルカウオッチングができる。
運が良ければ、イルカと泳ぐこともできる。
しかし、守らなければならないルールがある。

 イルカの自然な行動を妨げない。
 小さい子供を連れた群れにはこちらから接近しない。
 水中で寄って来ないイルカのグループには再度エントリーしない。
 イルカに触らない。触ろうとしない。餌を与えない。
 スキューバダイビングの装備でイルカに接近しない。
 ホイッスル、ダイビングコンピューターなど、
 人工音を発する器具は使用しない。
 水中カメラで撮影するときはフラッシュを使用しない。

イルカはおもちゃではない、アトラクションでもない。
自然に愛されているからこそ、
自然とともに生きる努力が必要だ。

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大友美有紀 12年9月15日放送



伊豆諸島「島の言葉」青ヶ島

伊豆諸島最南端に位置する青ヶ島。
住所は東京都青ヶ島村無番地。
一周9キロ、住人は170人あまり、
絶海の孤島、だからこそ満点の星を楽しめる。
鎌倉時代に書かれた『保元物語』で、
伊豆諸島に島流しになった源為朝が、
鬼が島を見つける。

 島の名を尋ねると、「鬼が島」と申す。
「それならばお前たちは鬼の子孫なのか」と尋ねると
「そうでございます」と申す。

鬼が島の記述は、当時誰も知らなかった青ヶ島の
特異な地形にそっくりだという。
星を見に、鬼を探しに、行ってみたくなる。

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大友美有紀 12年9月15日放送


ippei + janine
伊豆諸島「島の言葉」小笠原

日本列島から約1000キロ離れた太平洋の島々、小笠原諸島。
マリアナ諸島からも約550キロ離れ、
大陸と陸続きになったことがない海洋島だ。
2011年世界自然遺産に登録された。
黒潮に囲まれ漂着の歴史を持つ伊豆諸島と違い、
小笠原には1830年まで、定住民はいなかった。
だからこそ、独自の生態系が生まれた。
独自の文化が生まれた。

小笠原には「南洋踊り」と呼ばれる、
グアム、サイパン、トラック諸島から伝えられた踊りがある。

  夜明け前にあなたの夢見て
  起きると見たら大変つかれた
  もし出来るなら、ああ小鳥になって
  あなたの元へ時々飛んでゆく
  私の心は、あなたのために
  大変やせた、死ぬかもしれません

南洋諸島の言葉を日本語に訳した歌。
それにあわせて踊る。
何とも不思議な味わい。

小笠原には、飛行機で行くことが出来ない。
船で25時間半かけて行くのだ。
それでもそこは、東京都だ。

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