2013 年 2 月 のアーカイブ

佐藤理人 13年2月16日放送


varlen
ミカ・ハッキネン⑦「恐妻家」

フィンランド最速のレーサー、
ミカ・ハッキネン。

その妻イリヤの
レースを見つめる眼は険しかった。
険しすぎて、

 ハッキネンは恐妻家だ

というジョークが生まれたほど。

恐らく彼女も闘っていたのだ。
いつ事故で夫を失うかもしれない、
というプレッシャーと。

キャリア絶頂にして突然、
ハッキネンは引退を発表する。

理由は、彼女の妊娠。

二人の間には、勝利より強い絆があった。

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大友美有紀 13年2月10日放送



オーロラ・神秘の言葉

凍てついた雪の大地。
夜空にひらめく光のカーテン、オーロラ。
太陽から放出されたプラズマが
太陽圏に突入することによって発光現象。
科学的にその謎が解明されていても、
実際目にした時、この世のものとは思えない、
神秘的な光景に体が震えるという。

 オーロラはローマ神話の夜明けの女神、
 アウローラの名に由来する。
 人々に明るさと希望をもたらす女神だ。

2012年から13年は、オーロラの当たり年らしい。
明るさと希望がもたらされますように。

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大友美有紀 13年2月10日放送



「オーロラ・神秘の言葉」アリストテレス

オーロラを見るためには、北極の近くの
寒い国へ行かなければならない。
けれど、ギリシャの哲学者アリストテレスの著書、
「気象学」にはオーロラと思える記述がある。
「光のたいまつ」「小さな光明(こうみょう)」
「丸い水差し」「飛び跳ねるヤギ」などと表現している。
現代のローマでオーロラが出現するのは10年に1度ほど。
地球の磁力が今と違っていたのだろうか。

 1点から光が吹き出し、天が避けていく。

これもアリストテレスの記述だ。
未知なるもの、
想像を越えて、なお美しいものは、
恐れられる。

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大友美有紀 13年2月10日放送


musubk
「オーロラ・神秘の言葉」キツネ狩り

中世ヨーロッパの人々は、オーロラは
北の地平線の、さらに彼方の「この世の果て」に出現し、
神の怒りのしるしだと考えていた。

けれどもオーロラが日常的に現れる国々では、
もうすこしやさしい存在だ。

 雪をかぶった山々を
 大キツネが、尾を風になびかせて
 駆け回る。
 大キツネのきらめく毛は、
 色とりどりの光を生み出す。

ラップランド地方では、オーロラの現れる夜は、
キツネ狩りができるほどの明るさなのだ。

フィンランドのボスニア湾に面した地方では、
オーロラは海から生まれると考えられていた。

 巨大なクジラの尾が海面をたたく。
 水しぶきは、光となって空に舞い上がる。

人知を越えた自然の天体ショーは、
恐れにも恵みにも変わる。

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大友美有紀 13年2月10日放送


Billy Idle
「オーロラ・神秘の言葉」ダンス

オーロラは、めまぐるしく動く。
美しい光が夜空でダンスを披露する。
まるで生きているかのように見える。
カナダ北部のイヌイットの言い伝えでは、
それは精霊のダンスだと考えられていた。

 太陽がいない時、
 死者の精霊が、色とりどりの衣をまとい、
 透明な光の中で、楽しく踊る。

オーロラは、異界をかいま見せてくれる、
スクリーンだった。

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大友美有紀 13年2月10日放送



「オーロラ・神秘の言葉」探検家

オーロラの神秘をより多くの人へ
世界へと伝えたのは、「探検家」だ。

ノルウエーの探検家・ナンセンは、
1893年から95年の北極圏征服の旅で、
氷に阻まれ身動きができなくなった。
そのとき何度もオーロラと遭遇する。

 真上のかすかな光が現れ、
 それに向かって地平線から鋭い矢がつき刺さる。
 そして、ゆっくり月の光に溶け込んでいく。
 まるで魂が自分を残して旅だっていくのを
 目前にしているようだ。

南極点のアムンゼン・スコット基地の名前の由来となった
英国のロバート・スコットも、南極のオーロラについて書き残している。

 オーロラが人の心を動かすのは、
 なにかとらえがたい霊妙な生命にあふれたものだからだ。

そしてそれが人々の想像力を刺激するという。

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大友美有紀 13年2月10日放送


yk9905
「オーロラ・神秘の言葉」日本

日本でも北海道で、オーロラが見えることがある。
残念ながら、荘厳なオーロラではない。
カーテンの上の部分がほんのり見える程度だ。

けれど藤原定家の「明月記」の1204年の記録には

 晴れ。北の空に赤気あり。その根は月の出る方向。
 白色が四、五カ所あり、赤い筋三、四カ所あり。
 雲ではない。白色、赤色が交わり、奇妙、恐ろしい光景である。

とある。
オーロラなのか、どうか。
少なくとも天の恐怖の現象には違いない。

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大友美有紀 13年2月10日放送



「オーロラ・神秘の言葉」表現者

突然夜空に現れる光の洪水。
ゆらめき、色やかたちを変え、ふっと消えていく。
オーロラの魅力を多くの芸術家が伝えようとしてきた。
ゲーテは、愛する人の姿をオーロラの光にたとえる。

 おん身の姿は、永遠の星が
 オーロラの定めない輝きの中にきらめくように、
 親しげに変わることなく輝くのです。

 
オーロラを表現することは、
自然への愛を表現することかもしれない。

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大友美有紀 13年2月10日放送



「オーロラ・神秘の言葉」宇宙

オーロラの謎は、さまざまな宇科学の力によって、
太陽のプラズマに関係していることがわかった。

その科学の最先端にいる宇宙飛行でさえ、
オーロラの前では無力になる。

アメリカの宇宙実験室「スカイラブ」から
オーロラを撮影したNASAの宇宙飛行士ガリオットでさえ。

 宇宙空間から見たオーロラの
 余りの雄大さに感動し、
 夢中でシャッターを押していた。
 オーロラがどういう状態であったかとか、
 その位置についてとか、
 くわしいことはすっかり忘れてしまった。

我を忘れるほどの感動だ。
2012年から13年は、オーロラの当たり年らしい。
忘我の境地が味わえるかもしれない。

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澁江俊一 13年2月9日放送


Amarand Agasi
チョコと漫画家

 「すみません、急病人がチョコを食べたがっているんです!」

そんな強引な理由で
深夜にお菓子屋を起こし
わざわざ売ってもらうほど
チョコレートを愛していた
漫画家・手塚治虫。

手塚の代表作「ブラックジャック」に
こんな話がある。

2月14日。
心臓の奇病の手術がうまくいかず
打ちひしがれるブラックジャックに
ピノコが渡すハートのチョコレート。
しかし「ハートなんぞいま見たくもない!!」と言われ
ピノコはがっくり…

そのラストシーン。
「ピノコ、バレンタインデーってなんだっけ?」
とつぶやくブラックジャック。

その言葉に安心したピノコは
まるでチョコレートのように
甘くとろけた顔をするのだ。

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