東美歩 15年10月10日放送

151010-02

森和夫 社長の給料

「社長の給料は、おいくらですか?」
労働組合協議会に呼び出された森和夫は、尋ねられた。
働く者の権利が見直されはじめた昭和30年代、
東洋水産でも労働組合がつくられ、
待遇改善が訴えられ始めた。
「私の給料は、2万5千円です。」
森が答えると、どよめきが起こった。
現代の価値で37万円。
森の月給は、一般社員と変わらぬものだったのだ。
私欲よりも、消費者の利益を優先するのが、経営哲学だった。
その姿勢に社員は惚れなおし、
労使紛争は自然に解消してしまったという。
東洋水産のオーナー社長は、
戦闘的だった当時の労働組合協議会においてさえ、
あきれるほどの実直な人間だった。

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