2018 年 10 月 のアーカイブ

藤本宗将 18年10月27日放送

181027-03

文字の日「チェロキー語」

アメリカ先住民族のチェロキー族に、
シクウォイアという銀細工師がいた。

白人と交流があった彼は
「文字」という概念に触れ、感銘を受ける。
そしてめざしたのは、
文字を持たないチェロキー語の
読み書きを可能にすること。

苦労の末に完成したのが
85文字の「チェロキー文字」。

形はアルファベットやアラビア数字にも似ているが、
表す音はまったく違う。
シクウォイアは既存の文字を参考にしたが、
それらを理解することはできなかったためだ。

ひとりの力で民族に文字体系をもたらす。
後にも先にも例のない偉業である。

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永久眞規 18年10月27日放送

181027-04

文字の日「絵文字」

世界最古の文字、と言ったら
何を思い浮かべるだろうか。
エジプトのヒエログリフ?メソポタミアの楔形文字?
諸説あるが、中部イラクのウルク遺跡から
発掘されたシュメール文字が特に有力だ。

シュメール文字が使われていたのは、
紀元前3500年ごろで、紙もまだない時代だ。
ウルク遺跡から発掘されたシュメール文字も、
粘土板に刻まれていた。
そこには魚や人、記号などが並んでいて、
まるで絵のような、見ていて楽しいものだった。

そして、それから5000年以上たった現代。
世界中の人々がチャットやSNSで使っているのは、
笑った顔や怒り顔など、かわいい絵文字たち。

今や国や文化を超えても共通で使われ
非常に親しまれている「絵文字」の歴史は、
思ったよりずっと長いものかもしれない。

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永久眞規 18年10月27日放送

181027-05
©️ Christophe MOUSTIER
文字の日「点字」

指先の感覚で読む、
視覚障害者のための文字「点字」。
その起源は、思いも寄らないところにある。

1819年フランス。当時砲兵大尉だった
シャルル・バルビエ・ド・ラ・セール。
彼は、明かりがない夜でも
兵士たちに正確に命令を伝達するため
「夜間文字」という暗号を開発した。

それは、厚紙に点を浮かびあがらせ、
12の点で音節や発音、単語を表すというもの。

そして、それが後にパリの盲学校で改良され、
「点字」として広く普及していくことになる。

後世に残るような発明は、
意外と当初の目的とは少し違うところで
重宝されているのかもしれない。

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佐藤日登美 18年10月21日放送

181021-01
Photo by Rebecca Oliver
ゲーム パックマン

黄色い球体のキャラクターがモンスターから逃げながら
迷路の中のドットをパクパク食べるビデオゲーム。
その名もパックマン。

パックマンが生まれたのは、シューティングゲーム全盛期の1979年だった。
当時、ゲームセンターは男性であふれ、
その様子に危機感を覚えたゲームデザイナー岩谷徹が開発した。

キャラクターに愛らしさを足し、操作は簡単に。
モンスターもカラフルに彩り、女性ユーザーを狙った。
これが大ヒット。
男女問わず、人気のゲームとなった。

パックマンは2012年には米タイム誌が発表した
「歴史上最も偉大なゲーム100本」にも選ばれている。

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佐藤日登美 18年10月21日放送

181021-02
Photo by noahg.
ゲーム オセロ

“A minute to learn, a lifetime to master.”
「覚えるのに一分、極めるのに一生。」

というキャッチフレーズがつけられているボードゲーム、オセロ。

プラハで開かれた今年の世界選手権で、11歳の福地啓介くんが
最年少記録を塗りかえてチャンピオンに輝く、といううれしいニュースが飛び込んできた。

さらなるサプライズがあったのは、福地くんが帰る飛行機のなか。
実は、機長の谷田邦彦さんが以前の史上最年少記録の保持者だったのだ。
谷田さんは機内アナウンスでそのことを告げ、福地くんの栄光を称えた。
機内には温かい拍手が広がったという。

「極めるのに一生」かかるゲームのチャンピオンが二人も乗った飛行機。
なんだかいいことがありそうです。

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森由里佳 18年10月21日放送

181021-03

ゲーム その起源

ゲームが好きな人は多いだろう。
では、ゲームとは何なのだろうか?

フランス人社会学者のロジェ・カイヨワは、
ゲームをこう定義した。

楽しみのために行なわれるもの。
時間と場所が区切られているもの。
ルールがあるもの。
何かを生産するものではないもの。
現実の活動から意識的に切り離されているもの。

そして意外なことに、
勝敗が不確定であるもの。

現実から離れ、勝ち負けを気にせず、
ただ楽しむのがゲームの本来の姿なら、
その時間は、実に無駄で、すばらしい。

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森由里佳 18年10月21日放送

181021-04
Photo by docoverachiever
ゲーム 聖書からうまれたゲーム

日本でも有名なボードゲーム「人生ゲーム」は
1960年にアメリカ人のミルトン・ブラッドレーによって考案された。
実はそこには聖書の教えが込められている。

主なマスは、善行と悪行。
善行マスにとまるとポイントがもらえ、
悪行マスにとまると1回休みなどの罰がある。

そしてもう1つ特徴的なのが、
自殺のマスがあること。

自ら命を捨てることを厳しく咎めるキリスト教らしく、
そのマスではポイントは全て没収され、プレイヤーはゲームオーバーとなる。

人生ゲームは善行を賞賛し、命を尊ぶ、
まさに良き人生を歩むゲームだったのだ。

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蛭田瑞穂 18年10月21日放送

181021-05
Photo by D.Begley
ゲーム ゲームデザイナーの知恵

世界でもっとも有名なゲームキャラクーとして
ギネスブックにも認定されている「マリオ」。
アーケードゲーム「ドンキーコング」の主人公として
1981年に登場した。

小さなドット画でキャラクターを表現しなければならない
という制約の中でゲームデザイナーの宮本茂は
さまざまな工夫をした。

描くのが難しい髪の毛や口の代わりに帽子とヒゲをつけた。
服の色を1色にするために上下のつなぎを着せた。
こうして、職業が大工のマリオが誕生した。

ゲームデザイナーの知恵はどんな逆境も軽々とクリアする。

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蛭田瑞穂 18年10月21日放送

181021-06
Photo by labnol
ゲーム ゲームデザイナーの創造力

全世界で4024万本を売り上げた、
大ヒットゲーム「スーパーマリオブラザーズ」。

そのデータサイズはわずか40キロバイト。
スマートフォンで撮影した写真1枚よりも小さい。
そのために容量を抑えるためのさまざまな工夫がされている。

空の雲と地上の草は同じ画の色を変えているだけ。
キノコの形をしたキャラクター「クリボー」は
1枚の画を連続で左右反転させることで
歩いているように見せている。

40キロバイトという小さなデータの中には
ゲームデザイナーの無限の創造力が詰まっている。

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星合摩美 18年10月21日放送

181021-07

ゲーム トランプ

日本人に馴染みの深いカードゲーム、トランプ。

発祥は古代エジプトとも中国ともいわれ、
古くから世界中で親しまれているが、
じつは「トランプ」というのは日本特有の呼び名である。

「トランプ」という言葉は、英語圏では「切り札」を意味する。
明治時代、トランプで遊ぶ外国人が「trump」、
つまり切り札という言葉を頻繁に口にした。
それを見ていた日本人が、
カードゲームの名前と勘違いしたという。

この間違いは正されることなく、今に至っている。

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