2019 年 10 月 のアーカイブ

礒部建多 19年10月20日放送



洗髪休暇

10月20日(はつか)、今日は頭髪の日。

日本の歴史上、
最も有名な剣豪と言っても過言ではない、宮本武蔵。

人生のほとんどを放浪武士として過ごし、
13歳から29歳までに、60数回の決闘を行い、無敗だったいう伝説も残る。

映画やドラマに登場する武蔵は
ボサボサの長髪を、後ろで結わえているものが多い。

一説によると、
一年のうちでも余程の事がない限り、
髪を切るどころか、洗髪をする事もなかったという。

現代ほど、身なりを綺麗にする文化がなかったとはいえ
武蔵は別格だったようだ。

伝説の剣豪。
その強さの秘訣は、
身なりを整える時間も惜しまず、
剣技を磨いていた事にあったのかもしれない。

topへ

長谷川智子 19年10月19日放送


takeokahp
蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)

「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」
二十四節気を五日に分ける七十二侯で、
今日は、秋の虫が戸口で鳴くころ。

古くは、コオロギをキリギリスと呼んだので、
戸口に訪れるのもコオロギ、であろう。

鳴くのは雄。
一匹のときは、「コロコロ」と声を響かせて仲間を呼ぶ。
「チチチ」と短いのは、雄を威嚇する声。
そして、雌への求愛は、低くささやくように。

虫たちの、短い恋の季節である。

topへ

長谷川智子 19年10月19日放送


amika_san
ツヅレサセコオロギ

秋の夜長
リッ、リッ、リッ、リッと鳴くのは
ツヅレサセコオロギ。

つづれは傷んだ着物、刺すは縫う、という意味。
昔の人は、このせわしない声を
「肩させ、裾させ、つづらさせ」と聞きなした。
ほつれた着物を早く縫って冬支度をしろ。
と、せかされる気分だったのだろう。

今よりも、人の暮らしと自然のうつろいは、
ずっと近かった。

topへ

長谷川智子 19年10月19日放送



アリとキリギリス

イソップ物語、アリとキリギリス。
結末には2種類あるが
キリギリスがアリに食べ物をもらえず死んでしまう、というパターン。

「夏は歌っていたのだから、冬は踊れば?」
キリギリスの頼みを断るアリの一言。
まじめなアリにしては、嫌味も効いてユーモアがある。

キリギリスも黙って死んだりはしない。
「歌うべき歌はすべて歌った。
君は僕の亡骸を食べて生き延びればいいよ」

まさに、一寸の虫にも五分の魂。
両者、自分の生き方に自負がある。

topへ

長谷川智子 19年10月19日放送


Citron
太宰治きりぎりす

太宰治の短編「きりぎりす」。

貧乏画家だった夫が、
成功し金と名声にまみれる俗人になったのに嫌気がさし、
離婚を切り出す妻。

物語は、
妻が、布団の中で虫の音を聞きつつ終わる。

「この小さい、幽かな声を一生忘れずに背骨にしまって生きていこう」

きりぎりすの澄んだ声に
背筋をただし、俗世と決別するという一般的な解釈だが。

一人寝の夜のきりぎりすの声は
これからの人生の寂しさを示すようでもある。
秋の一夜の物語。

topへ

長谷川智子 19年10月19日放送


風の花
虫の音と気温

暦の上では、秋の虫が戸口で鳴くころ。

虫が鳴く気温は、30度~15度の間らしい。
暑さがおさまるころ、夜、鳴きはじめ、
秋が深まるにつれ、昼間に鳴くようになる。
まさに、季節のバロメーター。

ところで、日本の平均気温は、
100年あたり約1.2度の割合で上昇している。
暦と季節のずれを感じるのも、無理はない。

漫画家水木しげるは言う。
「虫とか草とかが吐くことばは、地球のことばなんです」

topへ

佐藤日登美 19年10月13日放送


© Citron
深海  ラブカ

深海に住む古代ザメ、ラブカ。
一瞬可愛らしい生き物を想像しそうだが、
なかなかにインパクトのある姿をしている。
うなぎのような長い胴体に、ひらひらと揺れる赤い6対のエラ。
大きな頭のほとんどを口が占め、歯は300本も持つ。

実は映画『シン・ゴジラ』に現れる
ゴジラの第二形態のモデルになっているのだとか。
深海をひっそりと泳ぐラブカも、
まさか映画のスクリーンに登場するとは思わなかっただろう。

topへ

蛭田瑞穂 19年10月13日放送



深海  海底二万里

フランスのSF小説家ジュール・ヴェルヌが
1870年に発表した小説『海底二万里』。

正体不明の巨大海洋生物の探査に出た探検隊が、
ネモ船長という人物によって建造された潜水艦
「ノーチラス号」に乗り込み、海底を旅する冒険譚。

この小説が発表された当時の潜水艦は性能が低く、
外洋を自由に航行できるものはなかった。

『海底二万里』で描かれるノーチラス号の性能は
ジュール・ヴェルヌの空想の産物。
しかし、のちに現実がその空想に追いつくことになる。

topへ

蛭田瑞穂 19年10月13日放送



深海  深海調査

深海の調査にはふたつの大きな問題がある。

ひとつは通信の問題。
水中では電波が使えず超音波に頼らざるをえないが、
超音波の識別能力は非常に低いため、
探査機の位置を把握するのは極めて困難である。

ふたつ目は圧力の問題。
水深10メートルごとに1気圧ずつ高くなり、
地球の最深部では探査機は1100気圧という
途方もない圧力に耐えなければならない。

これまで月面に着陸した人間は12人。
一方、地球の最深部マリアナ海溝のチャレンジャー海淵に
到達した人間はわずか3人しかない。

topへ

森由里佳 19年10月13日放送



深海  深海の光

チョウチンアンコウ。
実はこの魚、数が少ない上に
捕まえることが難しいため、
なかなかお目にかかれない深海魚だ。

それなのに、どんな姿をしているのか、
多くの人が想像に難くないからおもしろい。

おそらく、その原因は
あのアイコニックなチョウチンだろう。

実はあのチョウチン、
発光性のバクテリアとの共存のたまものである事がわかってきている。
あのチョウチンの先で、たくさんのバクテリアを飼っているわけだ。

そう思うと、あのいかめしい顔も、なんだかやさしく見えてくる。

topへ


login