川野康之 20年4月18日放送



オランダに目覚めた男たち

「長崎に行きたい」
前野良沢は決意して、46歳で長崎留学に旅立った。
通詞のもとで、単語を一つ一つ教わっては紙に書き留めた。
「肺はロング、心臓はハルト・・・」
だがあまりの難行に、目の前が真っ暗になった。
留学期間が終わる頃、一冊のオランダの本と出会った。
中には膨大な横文字が並んでいてとても理解できそうにない。
しかしページをひるがえしていると、鮮やかな人体の絵が現れた。
自信にあふれた精緻な絵を見ているうち、
良沢は何としてもこの本「ターヘル・アナトミア」を手に入れたいと思った。

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