大友美有紀 16年12月4日放送
天才意匠家 小村雪岱 『泉鏡花』
小村雪岱という人物を伝えるのは難しい。
「装幀家」「挿絵画家」「舞台美術家」「日本画家」。
大正、昭和にかけて活躍した。
東京美術学校時代に泉鏡花の小説を知り、夢中で読んだ。
その後、縁あって泉鏡花本人と知り合う。
しばらくの間、誠に丁寧なお言葉で様々のお話が
ございましたが、有頂天の私は何も覚えておりません。
この時、鏡花から「遊びにおいで」と言われた雪岱は、
嬉しさのあまり生来の引っ込み思案も忘れ、
木彫りの地蔵菩薩を持って泉宅を訪れる。
そして雪岱の装幀家としてのキャリアが始まったのだ。
大胆にして繊細な作風を思わせる行動だった。