大友美有紀 20年4月5日放送


Dan Lundberg
イースター島  日本人が立てたモアイ

今日はイースター島が発見された日。
謎の巨大石像、モアイの島。
モアイ像のことをテレビ番組で知った、
という人も多いでしょう。

1988年、当時の知事で考古学者でもある
セルヒオ・ラプが日本のテレビ番組に出演。
クレーンがあれば、倒れたモアイ像を復元することができるのに、
と語りました。
それを見ていた日本のクレーン会社の社員が、
自社のクレーンで立ててあげたいと考えたのです。
そこからプロジェクトが発足。
モアイの吊り上げ方法の模索、
クレーンの搬入方法の検討、
考古学的手続きの必要性。
さまざまな課題を乗り越え、
1995年、15体のモアイが復元され見事に立ち上がったのです。

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大友美有紀 20年4月5日放送


TravelingOtter
イースター島  プカオ

今日はイースター島が発見された日。
モアイ像には、プカオと呼ばれる
赤い帽子のようなものが乗せられていたとされます。

17世紀にイースター島を訪れた西洋人は、
島の男性が「髷」を結っていたと記録しています。
かつて高貴な人々は神や王から霊力を賜るために
髪を切ることが許されずに髷を結っていたともいいます。
赤い凝灰岩を円柱形に掘り出しだしたプカオ。
モアイ像が高貴で特別な存在であることの
証のようです。

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大友美有紀 20年4月5日放送


Sheep”R”Us
イースター島  鳥人儀礼

今日はイースター島が発見された日。
島には「鳥人儀礼」も伝えられています。
春、島の最南端沖の小さな岩場に、
渡り鳥が飛来します。
その最初の卵を持ち帰った者は、
神の化身になれるのです。
岩場まで、絶壁をくだり1.5キロほど泳ぐ危険な儀式。

絶海の孤島の住人には、自由に羽ばたく鳥は、
神のごとく思えたのかもしれません。

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佐藤延夫 20年4月4日放送



時間とは  アウグスティヌスの言葉

ローマ帝国の神学者、アウグスティヌスは云った。

 時間とはなんであるか。
 誰も私にそれを問わなければ、私は知っている。
 しかし、誰か問う者に説明しようと思うと、私は知らないのである。

当時は、昼夜の1時間の長さが季節によって変化する不定時法だった。

時は流れ、1950年代。
人は時計の性能を追い求め、
英国海軍のクルーにより耐久性のテストが行われた。
マイナス66.1度、犬ぞりで氷の上を移動するなど過酷な条件だったが、
チューダーの腕時計、オイスター プリンスは正しい時を刻み続けた。

曖昧だった時間が、少しだけクリアになった。

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佐藤延夫 20年4月4日放送



時間とは  時の詩

イギリスの詩人、
ウイリアム・ブレイクは、こんな言葉を残した。

 砂ひと粒に世界を見る
 花ひとつに天界を見る
 君の手のひらの中に無限を捉え
 一時の間に永遠を捉える

1950年代、
時計の性能を競い合った時代。
スイスの腕時計メーカー、チューダーによる耐久性のテストが、
過酷な条件のもとで行われた。

252時間、手作業で採掘を行う炭鉱作業員が着用する。

それでも腕時計は単位を乱すことなく、正しい時を刻み続けた。

少しだけ、永遠が見えた。

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佐藤延夫 20年4月4日放送


JaredEarle
時間とは  1秒の定義

1秒とは、なんだろう。
その疑問の答えは、
1967年に定められた「秒の定義」が教えてくれる。

秒はセシウム133原子の基底状態にある2つの超微細構造準位の間の
遷移に対応する放射の91億9263万1770周期の継続時間。

かなりわかりにくいが、
時間とは、周期運動でたとえることができる。

それより少し前の1950年代。
スイスの腕時計メーカー、チューダーによる耐久性のテストは、
過酷な条件のもとで行われた。

30時間、空気ドリルの振動がある環境で腕時計を使用する。

それでも時計は、正しい時を刻み続けた。
自らの周期を守りながら。

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佐藤延夫 20年4月4日放送



時間とは  火星の時間

地球の1年は、およそ365日。
1日は、およそ24時間。
違う惑星に移り住んだら、
もちろん1年や1日の長さは変わってくる。

たとえば火星の場合、
1年は、地球の時間で換算すると、687日。
1日は、24時間と40秒。
1日の長さは地球とさほど変わらない。
時間とは不思議なものだ。

1950年代。
スイスの腕時計メーカー、チューダーによる耐久性のテストが、
過酷な条件のもとで行われた。

1カ月間、金属の梁の固定作業を行う建設現場で腕時計を着用する。

それでも時計は、正しい時を示し続けた。

いつか火星に移住しても、
私たちの時計は、きっと素晴らしい精度で時を刻んでくれるだろう。

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佐藤延夫 20年4月4日放送



時間とは  ベルクソンの時間

時間には、ニュートンの時間と
ベルクソンの時間があるという。

ニュートンの時間は物理的なそれであり、
ベルクソンの時間は、私たちが経験しながら続いていく時間。
わかりやすく言うと、
記憶に残る時間が長いほど1日が長く感じるようなこと。

1950年代。
スイスの腕時計メーカー、チューダーによる耐久性のテストは、
過酷な条件のもとで行われた。

バイクレーサーが腕時計を着用し、1000マイルを走破する。

それでも時計は、正しい時を刻み続けた。

正確な時間があるところに、思い出深い1日が待っている。

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石橋涼子 20年3月29日放送


Jonathan Baker-Bates
春野菜のはなし  春野菜がきた

春の訪れに気づくのは、どんな時だろうか。

梅の花が咲いて、桃も咲いて、
いよいよ桜もほころんでいると気づいた時だろうか。

ぽかぽかと温かい日差しを浴びて、
冬用のコートが重く感じたら。
春色の華やかな洋服を着たくなったら。

4月から始まる新生活を前にして
人々の表情が、ちょっと、前向きに見えたら。

もし、まだ春の予感を感じていない場合は、
スーパーマーケットに行くと良い。
春キャベツ、アスパラ、菜の花にフキノトウ…
この季節しか出会えない野菜たちが
みずみずしい春の訪れを告げてくれるだろう。

栄養たっぷり、生命力にあふれた春野菜を食べながら
季節の変わり目を楽しんでみませんか。

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石橋涼子 20年3月29日放送


Haragayato
春野菜のはなし  たけのこ前線

春が来て温かな日差しを感じると、
土の中からひょっこり顔を出す、たけのこ。

たけのこを漢字で書くと、竹冠に旬。
これは、一旬で竹になる、という意味で
たけのこの成長の早さを表している。

柔らかく甘みのある春のたけのこは、
収穫後もどんどん成長してえぐみが強くなるので
下処理は時間との戦いだ。

料理好きで知られる文豪の檀一雄は、
たけのこはとにかく掘った、食った、が良いと語る。
春になると、竹林の中に分け入って
掘り立てを焼いて食べるために東奔西走するという。

さすがに竹林で焼くのは難しいが、
とれたてのおいしさを求めて産地を訪れる人は多い。

日本の食卓で親しまれている孟宗竹は
2月下旬に九州で出回り始めて
3ヶ月ほどかけて東北に達する。

桜前線ならぬ、たけのこ前線だ。

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