Vision > 中村直史

‘中村直史’ タグのついている投稿

中村直史 17年3月25日放送

170325-03 DesEquiLIBROS
花ひらく グランマ・モーゼス

アメリカの国民的画家、グランマ・モーゼス。
「モーゼスおばあちゃん」と親しみをこめて愛されたこの画家は、
75歳にしてはじめて絵筆をとった。

貧しい農家に生まれ、働きづめの人生。
絵を描き始めた理由も、年老いてリウマチを患い
その「リハビリ」を兼ねてのことだったという。

「屋根つき橋」「冬景色」「散歩道」

彼女の絵には、日々の労働の中で目にした景色が、
生き生きと描かれている。
色のひとつひとつに、生き様が立ち現れるようだ。

晩年、どうやれば画家になれますか?
と質問されたモーゼスおばあちゃんは、
一言こう答えている。

「はじめればいいのよ」



topへ

中村直史 17年1月14日放送

170114-01 sympathy
ひとりとひとり 宮本常一と渋沢敬三

旅する巨人と言われた民俗学者、宮本常一(みやもと つねいち)。
彼を偉大な民俗学者にしたのは、
才能と努力だけではなかった。

「パトロン」がいた。

渋沢敬三(しぶさわけいぞう)。
第16代日本銀行総裁。のちの大蔵大臣。
日本の辺境に残る文化をつぶさに記録した宮本を、導き、援助しつづけた。

渋沢は、日本の経済の中心にいながら、
つねに日本の「すみずみ」のことを考えていた。
その思いを、宮本常一に託したのかもしれない。
渋沢のこんな言葉が残っている。

 舞台で主役をつとめていると、多くのものを見落としてしまう。
 その見落とされたものの中にこそ大切なものがある。
 それを見つけてゆくことだ。
 人の喜びを自分が本当に喜べるようになることだ。



topへ

三島邦彦 16年12月24日放送

161224-05
今夜はクリスマスイブ オーギー・レン

クリスマスになると、見たい映画がある。
たとえば、ウェイン・ワン監督による、1995年作の作品「スモーク」。
原作の小説の名前を
「オーギー・レンのクリスマスストーリー」という。

この物語の登場人物たちは
どうしようもない嘘をつく。
つくしかなくて、つく嘘たち。

主人公のオーギー・レンもまた、
かつて、ある人を嘘でだました経験をとつとつと語る。
それを聞いていた常連客は、その嘘についてこう答える。

 本当にいいことをしたな。
 人を幸せにした。
 生きていることの価値だ。


さあ、今年のクリスマスは
世界中でどんな嘘がつかれるのだろう。


topへ

中村直史 16年11月26日放送

161126-03 Stijn Vogels
ペンは動く デイビッド・オグルビー

広告の父と呼ばれる、デイビッド・オグルビー。
彼は、すばらしい広告をつくった人とほめられるより、
「売れる広告をつくった人」になることだけを望んだ。

オグルビーの広告づくりはデータに基づいていた。
写真の選び方、文章の配置、文字数まで。
すべてデータに基づいていた。

たとえば、こんなデータ。

 白地に黒の文字の方が、黒地に白の文字より読まれる。

オグルビーの広告において、
黒地に白で書かれた文字はない。


topへ

中村直史 16年10月22日放送

161022-01 Lombroso
そのとき聞こえた音楽 ラーメン屋でリスト

日本人の食に関する悲喜こもごもを
情緒豊かに描いた
伊丹十三の傑作「たんぽぽ」。

監督は、この映画のことを「ラーメン・ウエスタン」と
表現していたらしい。

ストーリーの軸は、
とある落ちぶれたラーメン屋の再建。

そして、ラーメン屋の復活を感動的に支えるのが、
日本にもラーメン屋にも食にも関係なく作られた、
フランツ・リストの「交響詩・前奏曲」だ。

ラーメン・ウエスタンなニッポンを際立たせる、ヨーロッパのクラシック。

いかにも伊丹十三らしい組み合わせだ。


topへ

中村直史 16年10月22日放送

161022-02 Dallas1200am
そのとき聞こえた音楽 猿が人間になるときにシュトラウス

作曲家リヒャルト・シュトラウス。
彼は、1896年、ニーチェの著作にインスピレーションを受けて
交響詩を作曲した。
曲の名は「ツァラトゥストラはかく語りき」。

33分にも及ぶ壮大な交響詩は、
一世紀を経た今、世界中のだれもが知る曲となった。
ただし、曲の冒頭のみ。

発端は、映画「2001年宇宙の旅」。
人類の進化を描く鮮烈なシーンで、
このシュトラウスの曲は、高らかにその存在感を示した。
この映画のためだけに生まれたかのような曲だった。


topへ

中村直史 16年7月30日放送

160730-01
音楽に生きる人 新庄清貴さんと小宮大輔さん

国と国の境で
国籍の壁をこえて、
みんなでいっしょに歌いたい。

そんなことを夢想した人たちがいる。

日本と韓国の国境ぞいの島、
対馬生まれの
新庄清貴(しんじょう・きよたか)さんと小宮大輔(こみや・だいすけ)さん。

夢は計画に変わり、計画は行動になった。
日本と韓国のアーティストも動き出した。
「対馬ボーダーアイランドフェスティバル」

新庄さんはこんな風に語ってくれた。

  国境の島が、友好の架け橋になる。 
  困難はいっぱいあるけど、ぜんぶ越えられると思うんです。


国境の壁を越えようとする思いが、
人の気持ちの中にある
いろんな壁を乗り越えようとしている。


topへ

中村直史 16年6月25日放送

160625-01
雨や植物や木のはなし 佐藤和歌子(さとう わかこ)

佐賀県神崎市(さがけん かんざきし)、脊振(せふり)。
空から山々を見ると、
龍が背中を振っているように見えるから「脊振」。

壮大な名前をもつこの山と森の里に、
NPO法人「森林(もり)をつくろう」は、ある。

昔の人々が植えた木々が
手入れされないと、山は荒れる。
森林(もり)を中心としたコミュニティも廃れる。
森林(もり)が廃れることは、国土の70%が力を失うこと。
それを、なんとかくいとめたい。

代表の、佐藤和歌子さんは言う。

 森林(もり)に来て、木に触れてほしいんです。
 森林(もり)は時代を超えて、人を幸せにする場所です。



topへ

中村直史 16年2月13日放送

160213-01 stevendepolo
明日、2月14日。 宇野千代

明日、2月14日。
バレンタインデー。
私は、あの人に、告白するだろうか。
しないだろうか。

そんな思いをかかえ、
もんもんとした夜を送っている
女性はいますか?
いますよね、きっと。

そんなあなたに伝言です。
98年間の人生を
全力で思い切り生き抜いた
小説家、宇野千代さんからの、こんな一言。

 恋をしなさい。好きと言えないなんて、ケチな根性よ。


topへ

中村直史 16年1月23日放送

160123-03
土の話 四狭間かなた

「一カ所焼き」と呼ばれる焼き物がある。

提唱するのは、
栃木県佐野市の陶芸家、
四狭間かなた(しさま かなた)。

なぜ「一カ所焼き」なのか。

材料を、とくに陶芸に適したわけでもない、
自分の住む土地の一カ所だけで調達する。

土も、石も、薪も、
近所の名もなき山や川で見つける。
釜も煙突もそのへんの土でつくった。

四狭間さんは言う。

 自分の足で歩きながら、目の前にあらわれる
 さまざまな自然の素材を、
 感謝しつつ手を使って工夫し、焼いて、遊び倒すんです。


「つくる」という行為は、原始的なほど、
おもしろいのかもしれない。


topへ


login