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中村直史 14年3月16日放送

140316-04
S/L
夢みるおとなたち レスリー・キー

どうして日本に来たのか。
その質問に、
シンガポール出身の写真家レスリー・キーは答えた。

 日本に来てカメラマンになったら、
 大好きなユーミンに会えると思ったんだ!

工場で働いて、日本へ行くお金を貯めた。
学校に入るため、日本語を猛勉強した。
プロになって、写真をとりまくった。

シンガポールを離れて7年。
2001年の5月13日、
その日はやってきた。

自身初の写真集のため、ユーミンを撮影した。
コンセプトは
“Dream of the Lovers”だった。

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中村直史 14年3月16日放送

140316-05

夢みるおとなたち アルフレッド・ヴェーゲナー

時は20世紀初頭。
男は、世界地図を広げ、考えた。
南アメリカの東の海岸線と
アフリカの西の海岸線が似ているのは、なぜだ。

それまでも、この疑問に答えを出そうとした科学者はいた。

けれど、気象学者アルフレッド・ヴェーゲナーの結論は、
ひときわ夢想じみたものだった。

「かつて、地球上のすべての大陸は、ひとつの巨大大陸だった」

異端の学説として退けられた、
ヴェーゲナーの大陸移動説。
それが、地球物理の定説となった時、
ヴェーゲナーはもうこの世にいなかった。

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中村直史 14年2月8日放送


the cardinal de la ville
寒さとあたたかさについて ポール・オースターもしくはアメリカ国民

アメリカ国民から集めたストーリーを、
ただ、ラジオで朗読する。

「ナショナルストーリープロジェクト」は、
小説家ポール・オースターの呼びかけで生まれた。

基準は「ウソのような、本当の話」。
アメリカの、ふつうの人々から集まった
4000を超えるストーリーには、
あたたかい話があった。寒々しい話があった。
ウソみたいな、でもたしかに本当の、
かなしみや、怒り、驚き、よろこびがあった。

ラジオから朗読をつづけたオースターは言った。

 アメリカが物語を語るのが私には聞こえた。

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中村直史 14年1月26日放送


Lazaro Lazo
はじまりの言葉 沢木耕太郎

心配性の親たちにとって、
こんなに面倒な一冊はないだろう。
その魔力で、これまで、どれだけの数の若者たちを
世界の放浪へと旅立たせたのか。

本の名前は「深夜特急」。
沢木耕太郎が書いた旅行記のバイブルは、
こんな一文ではじまる。

 ある朝眼を覚ました時、
 これはもうぐずぐずしてはいられない、と思ってしまったのだ。

はじまったばかり、のはずの2014年も
もうひと月が過ぎようとしている。
ぐずぐずしてはいられない。
さあ、どこへ向かおう?

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中村直史 14年1月26日放送



はじまりの言葉 市川中車

名門の出ならば、2歳での初舞台もある。
とすれば、44年遅れの初舞台だった。

歌舞伎役者、市川中車。
俳優名、香川照之。
2歳の時、歌舞伎役者である父が家を出てしまったため、
歌舞伎の道は閉ざされたはずだった。

自らが子どもを持って、不可能に挑むことにした。

その襲名披露。
鬼気迫る形相で行った挨拶は、こんな言葉だった。

 生涯かけて精進し、九代目を名乗らせていただく責任を
 果たしていく覚悟でございます。

無謀な挑戦かもしれない。
しかし、一歩踏みだした者にしかわからない
世界がかならず待っている。

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中村直史 13年12月22日放送


E01
クリスマスに人々は サンタ・クロース

クリスマスが、
ロマンチックでステキなものだとすれば、

それは、だれかが
クリスマスの裏方としてがんばっているからだ。

道端に立ってケーキを売る人。
街にイルミネーションの飾り付けをする人。
レストランでおいしいディナーをつくる人。

きわめつけは、あの人だ。
雪が舞い、北風吹きつける冬の夜空を
何十時間も飛びつづけ、
一軒一軒煙突から降りるという、
過酷極まりない仕事をするあの人。
しかも、毎年遅刻することなく、きっちり仕事をやりとげる。

サンタ・クロースさん。
あなたにこそ
メリークリスマス。

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中村直史 13年12月22日放送


iyoupapa
クリスマスに人々は レイモンド・ブリッグス

サンタさんは
ニコニコしながら
プレゼントを配っている。
というのは偏見かもしれない。

絵本作家 レイモンド・ブリッグスが描いたのは
寒がりで
めんどくさがりで
かんしゃく持ちのサンタ・クロース。
12月24日の日、ベッドから憂鬱そうに起き上がった彼はつぶやく。

 やれやれ、またクリスマスか!

悪態をつきながらも
仕事だからしょうがないと
世界中をかけめぐり、煙突の中でまっくろになり、プレゼントを配り
ヘトヘトになって自宅にたどりつく。
そして、ひとり傾けるワインにようやく少しだけ笑顔になる。

なんだか、私たちみたいじゃないか。

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中村直史 13年11月16日放送


Dominic’s pics
カメラの裏には 山下祥一

セルフタイマーをセットする。
シャッターをおす。
カチ、
ピ、
ピ、
ピ、
ピ、
ピ、
パチリ。
そのピピピの時間に物語がある。
そう気づいた写真家がいる。
セルフタイマー写真家、山下祥一。
高い崖の上から川へダイブしている写真。
電車の中でコタツを囲んでいる写真。

切りとられた瞬間にいたるまでの10秒間を
私たちは想像してしまう。
ダイブの前はお祈りしたのだろう?
電車の乗客はびっくりしたのだろうか?

その写っていない映像に、見る者はまいってしまう。

セルフタイマーに魅せられた男。
つぎは、どんな物語を見せてくれるか。

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五島のはなし(190)

五島のはなし(77)で、中学一年生の、坊主頭の釣りの師匠のこと書きました。

そのころ、五島の戸楽漁港に釣りにいくと、必ず出会う少年がいて、
いつも一人で釣りしてる。かわいくて、シャイで、釣りがうまい。

なんか、すてきな少年やなあ、しかも、目の前でバンバン大物を釣るので、
勝手に「師匠」と呼んでました。もう、4年も前の話です。
それ以来会うこともないまま、ときどき、どうしてるかなあ、と思ってました。


先週五島に帰り、たまたま戸楽の防波堤に遊びに行ったら、
地元の若者が一人もくもくとエギング(イカ釣り)をやっている。
びしっびしっと、いかにもプロっぽい上手さです。
で、思いました。

もしや・・・師匠?

toraku131024b

すっかり大きくなって、見た目は変わってるけど、、、やっぱり師匠だ!
師匠!師匠!
大きくなったなあ。4年ぶりやもんなあ。
向こうもすぐわかってくれた!
うれしくて、背中をばんばんたたく。
聞けば、高2になったって!ふはー。高2!月日がたつのは早い!

toraku131024

記念撮影です。
今度、いっしょに釣り行こうぜ!って約束してきました。
この世に釣りというものがあって、よかった。

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五島のはなし(189)

秋の、スカッと晴れた日の、高浜海水浴場は、
秋の、スカッと晴れた日の、高浜海水浴場でしかみられません。
海と空の境は、いま、いちねんでいちばんクキっとしてます。

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