佐藤理人 13年6月9日放送



ロックの日③「スプリングスティーン」

アルバムの発売を延ばすべきか否か。
ブルース・スプリングスティーンは迷っていた。

いよいよ彼の時代が来る。
そんな声も聞こえる中で発表する3枚目は勝負の一枚。
失敗は許されない。

曲はすべてできている。
しかし頭の中で鳴っている音にどうしてもならない。
なんといっても目標はビートルズの「Let it be」なのだ。
半端なことで妥協するわけにはいかなかった。

高まる周囲の期待と自らの完璧主義の間で
スプリングスティーンは揺れた。
そして遂に覚悟を決める。

 発売日は一時だが、レコードは永遠だ。

発売日どころかツアーまで延期し、
自分の欲しい音を徹底的に追求する、
この姿勢こそ正にロック。

完成したアルバム「Born to run」は
「ローリング・ストーン誌が選ぶベストアルバム500」
において18位を記録する。

自らの予言通り、彼は見事永遠を手に入れた。

今日は6月9日、ロックの日。

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