2013 年 6 月 30 日 のアーカイブ

薄景子 13年6月30日放送


Weird Beard
プレゼントのはなし 最初のプレゼント

子どもが何気なく言った言葉に
思わず頬がゆるんでしまう。
そんな言葉を集めた新聞の投稿欄に
素敵なエピソードが寄せられた。

「あなたが最初にもらったプレゼントは?」
 というコマーシャルを見て、
「僕が最初にもらったプレゼントは、僕が生まれたこと!」

信じられないほど純粋な子どもの言葉は、
むかし子どもだったことを忘れかけた
大人たちへのプレゼント。

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茂木彩海 13年6月30日放送


Thomas Gehrke
プレゼントのはなし 受け継がれるプレゼント

知らぬ間に両親から受け継いでいた。
その事に気づくのは
意図せず自分に父の癖が出てきたり、
電話の声を母と間違えられたりした瞬間だろう。

作家の吉本ばななは、父で詩人の吉本隆明から
「上手に自分を律する方法」を受け継がせてもらったのだと言う。

作家の生活は自分次第。いつ気を抜くか、追い込むか、
新人のころは勝手がわからず、そのままつぶれてしまう作家も多い。

しかしばななは迷わなかった。

父が夕方になるとフラっと外出していたように、
自然と夕方くらいに落ち着かなくなり、買い物がてら散歩に出かける。
これでバランスを取っているのだ。

そんな素敵なクセを娘にくれた隆明が昨年亡くなった。
その寸前、ばななは言った。

「私はお父さんの娘でいて、
 いやなことが一個も、ほんとうに一個もなかった。
 それはほんとうに幸せなことだったと思います」

親から受け継いだプレゼントを自分のものとして生きていく。
それを、幸せな生き方と呼ぶのかもしれない。

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熊埜御堂由香 13年6月30日放送


through a pin-hole
プレゼントのはなし カード

童話『クマのプ―さん』の中で、
プ―さんが、博識のフクロウに誕生日カードの
代筆を頼む場面がある。
フクロウの呪文のような言葉を、
訳者の石井桃子さんはこんな詩にした。

 おたじゃうひ たじゅやひ おたんうよひ おやわい およわい

白紙のカードに何を書こう?
あなたも、迷ったら
この詩を書きつけてみてはどうだろう。

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石橋涼子 13年6月30日放送



プレゼントのはなし グレン・ミラーとプレゼント

ジャズのビッグ・バンド黄金時代を築いたと言われる
アメリカのミュージシャン、グレン・ミラー。
20代で主催したバンドの解散と破産を経験し、
第二のバンドは、妻の実家まで担保にして資金をつくった。

グレン・ミラーは、天才的に判断がはやく、主張を曲げない。
しかも周囲があきれるくらいの完璧主義。
バンドメンバーのなかには、グレンを尊敬するものと同じくらい
嫌うものが多くいた。

しかし全員が知っていることもあった。
貧しいバンドのためにグレンがいつも奔走していること。
時には自分のお金を出していること。
そして、必ずこのバンドが成功すると信じていること。

ようやくバンドが軌道に乗り始めた1940年のクリスマスイブ。
コンサートを終えたメンバー全員からバンド・リーダーに
プレゼントがあった。

 グレンへ。楽団員より。

それだけ書かれたクリスマスカードが添えられた、ビュイックの新車。

その瞬間、
一部のメンバーに冷血漢とまで言われたバンド・リーダーが
人目もはばからずに涙を流したのだった。

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石橋涼子 13年6月30日放送


jijis
プレゼントのはなし 完璧なプレゼントとは

コージーミステリーという小説ジャンルをご存知だろうか。
コージーは「居心地の良い」という意味。
タフな探偵も派手なアクションも無いけれど、
人生経験豊かな女性たちがおいしい料理とともに
日常を楽しむヒントを教えてくれる。

アメリカで人気のコージーミステリー作家
ローラ・チャイルズの作品には、こんな言葉が。

 抱擁は完ぺきな贈り物である。
 ひとつのサイズで誰にでも合うし、
 もらったものを返しても怒る人はいない。

温もりのある言葉とアツアツの紅茶は、
殺伐としがちなミステリーに、意外と合う。
一冊、自分に贈ってみてはいかがだろうか。

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小野麻利江 13年6月30日放送



プレゼントのはなし ココ・シャネルの言葉

シャネルの創設者、ココ・シャネルは言った。

 20歳の顔は、自然の贈り物。
 50歳の顔は、あなたの功績。

女性の自立を目指した
デザイナーならではの一言。

さあ、未来の自分に
どんな顔をプレゼントしましょうか。

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小野麻利江 13年6月30日放送



プレゼントのはなし 薩摩藩からの大硯

安政3年。徳川第13代将軍・家定のもとに
薩摩藩島津家から、篤姫が嫁いだ。

挙式の際、薩摩藩からの贈り物の中には
ひときわ目立つ大きな「硯(すずり)」が。
長さ1.5メートル、幅90センチで、重さは108キロ。
上甑島(かみこしきじま)で切り出された天然の硯石に彫刻し、
大人4人がかりで、江戸まで運んできたという。

なぜこのような硯を献上したか。
篤姫の養父、薩摩藩主・島津斉彬は、
こう語ったそうだ。

「婚礼の品に関しては、全国の大名が
 金銀珠玉をちりばめ華美を競っているが、
 どの品もそれほど大したものではない。
 そのように絢爛豪華ではないが、
 雅の心だけは非常に深く込められている
 この大硯を献上することは、
 後世まで一つの語り草になるのではないかと思う。」

何をどう贈るか。贈り物も、またひとつの政治。

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