高田麦 13年6月22日放送



夫婦の話(ヒッチコックとアルマ)

一人では天才になれないのかもしれない。

サスペンスの帝王、アルフレッド・ヒッチコックには、聡明な妻がいた。

脚本家として活躍していたアルマ・レヴィル。
よほど重要なことがない限り、
彼女は夫のセットへ姿を見せることはなかったが、
どの映画でも一番信頼できる意見を述べる相談役として、
ヒッチコックのキャリアで重要な役を果たした。

1959年、実在する殺人鬼エド・ゲインの伝記に
強い着想を得たヒッチコックは、
新作映画に取りかかろうとするが、
映画会社には残酷すぎる!と
ダメだしされ資金も集まらない。

自己資産を投入し、ようやく完成した映画は
最初の試写会でも散々酷評されるが、
妻だけが「あなたは編集の天才なんだから、
もう一度やり直せばいい」と励まし続けた。

開始30分でヒロインを殺すというセンセーショナルな展開、
有名なシャワーシーンへの印象的な音楽の挿入、
映画の最終的な編集は、彼女の助言によるものだ。

映画史に残る不朽の名作「サイコ」は、夫婦でつくりあげた映画だったのだ。

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