名雪祐平 15年2月28日放送
わび 前衛 利休
千利休が竹で作った花入の傑作。
『圓城寺の筒』
ある茶会でのこと。
利休がこの花入に花を生け、床の間に掛けた。
竹の表面には大きなひび割れがあったため、
水がしたたり落ち、畳を濡らしてしまう。
客たちが、これはどうしたものでしょうと
たずねると、利休は答えた。
この水が洩れるところこそ、命なのです。
花入から流れゆく水のしずく。
そこには既成概念を逆転する美があった。
現代美術にも通じる「破格の美」だった。