佐藤理人 16年8月20日放送

160820-02

名探偵と都市 メグレとパリ

パリを愛した名探偵、メグレ警視。

彼の推理は極めて地味だ。
鮮やかなトリックの種明かしも、
あっと驚くアリバイ崩しもない。

証拠より心理を重視した緻密な論理の積み重ね。
その興味は誰が犯人かより、
なぜ罪を犯してしまったのかにある。

パリの街を歩きながら、
彼は犯人の皮膚の下に入り込み、
苦しんだ時間を共有しようとする。

 運命の修理人

として人生の不幸な偶然で
道を踏み外した人を正しく導きたいと願うメグレ。

彼が向き合うのは犯罪者ではなく、
罪を犯さざるを得ない人間の弱さだった。

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