天才の嗜好 オリヴァー・ヘヴィサイド
イギリスの物理学者、オリヴァー・ヘヴィサイド。
電子回路設計と電磁気学のベクトル解析の基礎を築き、
1912年には、ノーベル賞の最終候補にまで残っている。
薄茶色の髪、口ひげをたくわえ
鋭い目つきをしており、見た目は英国紳士。
そんな男だが、変人だった。
極度の人嫌いで、部屋に閉じこもったまま。
食事はトレイに乗せてドアの前に置くように命じた。
暗闇を好み、締め切った屋内での作業を愛し、
さらにその部屋を、うだるように暑くした。
天才とは、紙一重なのである。
2017 年 5 月 6 日 のアーカイブ
佐藤延夫 17年5月6日放送
佐藤延夫 17年5月6日放送
天才の嗜好 サミュエル・ジョンソン
18世紀の作家、サミュエル・ジョンソン。
シェイクスピアにまつわる多くの著作や、
英語辞典の編纂などで名を馳せ、
当時のイギリスで彼を知らない者はいなかった。
そんな男だが、変人だった。
食べ物を目の前にすると、飢えたライオンのように貪り食う。
また、道を歩きながら全ての柱に触り、
ドアを開ける際には、決まった歩数ぶん離れたところから飛び込んだという。
ただ、独特のユーモアは持っていた。
彼の英語辞典の一部を紹介しよう。
麦:イギリスでは馬の餌になっている穀物だが、
スコットランドでは人間の食料になっている。
佐藤延夫 17年5月6日放送
天才の嗜好 ジェレミ・ベンサム
イギリスの哲学者、ジェレミ・ベンサム。
彼の才能は幼少期に開花した。
3歳でイギリスの歴史を理解し、
5歳でギリシャ語とラテン語を読み、
15歳でオックスフォード大学を卒業した。
彼の発表した、政治と経済に関する数多くの著書は、
政治家を唸らせるほどのものだったという。
そんな男だが、変人だった。
彼の友達は、おびただしい数のネズミで、
放っておけば何時間でも撫でていたそうだ。
そして家庭用品に人間の名前をつけた。
ティーポットは「ディック」、
ステッキは「ダップル」と呼んでいた。
彼のミイラ化した遺体は、ロンドン大学に展示されている。
もちろん彼の遺言どおりの処置である。
佐藤延夫 17年5月6日放送
天才の嗜好 ヘンリー・キャベンディッシュ
イギリスの物理学者、ヘンリー・キャベンディッシュ。
彼の研究は多岐にわたり、その功績はあまりに輝かしい。
水が元素ではなく、水素と酸素の化合物であることを発見した。
火薬の発火防止法や、金合金の物理的性質。
オーロラの高度を調べ、ヒンズー教の暦を復元し、
地球の重さまで測定した。
そんな男だが、変人だった。
史上最高の科学者のひとりだが、
史上最高にシャイな性格で、
会話中に彼の顔を覗き込むことは禁じられた。
もちろん交友関係も一切なく、
親密と言われる甥ですら1年に30分しか会うのを許されなかった。
特に女性に対して内気で、
家政婦にもメモを残すだけだったという。
そして彼は、一冊の本も出さず、
研究の多くを発表しないままこの世を去った。
誰も彼の心の中を知ることはできない。
佐藤延夫 17年5月6日放送
天才の嗜好 リチャード・カーワン
アイルランドの科学者、リチャード・カーワン。
科学、法律、論理学をはじめ
さまざまな研究に従事したが、
彼を一躍有名にしたのは、
天候を予測するシステムの開発だった。
過去のデータと数学的アプローチによる予報は、
現在でも多くの分野で応用されている。
そんな男だが、変人だった。
食事はハムとミルクだけ。
恐ろしいほどハエを憎んでおり、
ハエの死骸を持ってきた人には金まで払ったという。
そして風邪をひかないためにあらゆる対策を講じたが、
79歳のとき、風邪の合併症でこの世を去った。
なぜか断食で治療していたそうだ。