小野麻利江 19年4月28日放送



平成よ、ありがとう。 「平成21年–2009年」

十年一昔(じゅうねんひとむかし)、という言葉がある。

世の中は移り変わりが激しく、
10年も経つともう昔のこととなってしまう
という意味だが、

ちょうど10年前の2009年、
平成21年の政局は、まさにひと昔前という感がある。

この年のはじめ、
アメリカではバラク・オバマ上院議員が、
“Change”と”Yes, we can.”のスローガンを掲げ、
アフリカ系アメリカ人として初の大統領に就任。
「アメリカに変革が訪れた」と、勝利演説を行った。

そこから約8ヶ月後の日本では。
衆議院議員総選挙で、民主党が308議席を確保して、
政権交代を実現。
鳩山由紀夫内閣が発足した。
「政権交代」という言葉は流行語大賞にもなり、
何かが変わっていくのではという期待感が
当初は少なからずあった。

十年一昔。
現在のアメリカの、日本の姿を、
2009年当時の私たちは、
果たして想像し得ただろうか。
しかし、何はともあれ、
平成という時代はもうすぐ終わる。

平成よ、ありがとう。
いよいよ、令和へ。

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茂木彩海 19年4月28日放送


©️takou saito
平成よ、ありがとう。 「平成23年–2011年」

平成最大の災害として記憶に新しい、東日本大震災。

各国が被害状況をレポートするなか、
日本人の土壇場力に驚く声も数多く報道された。

指示が無くても並んで救援物資をもらう。
外食していても揺れが収まったらお金を払いに戻ってくる。
炊きだしは少な目にもらって行きわたるように遠慮する。

絆と呼ぶには少し軽く、使命と呼ぶには少し重い。
あくまで当たり前のこととして正しい行いができる日本人を
誇りに感じた。

平成には「平和の達成」が願いとして込められている。
災害こそ多かったが、日本人の心には、これからも平成が根付き続けるはずだ。

平成よ、ありがとう。
いよいよ、令和へ。

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薄景子 19年4月28日放送


Photo by Cody Chan on Unsplash
平成よ、ありがとう。 「平成25年–2013年」

平成は「食」が
エンターテインメントとなった時代。
料理番組がショービズ化し、
SNS映えする食べものが次々とブームになった。

ティラミスからはじまるスイーツブームは、
パンケーキブロガーによってさらに火がつき、
イタリアン、フレンチ、エスニックなど
世界中のあらゆるグルメが、
ハイクオリティで楽しめる国へと進化した。

そんな中、平成25年
「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録される。
自然を敬い、季節の移ろいを繊細に表現する
日本食の技と美味しさに、国内外から賞賛の声が集まった。

世界の美食を追い続けてきた日本が、
和食で世界を彩る時代が、もうはじまっている。

平成よ、ありがとう。
いよいよ、令和へ。

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小野麻利江 19年4月28日放送


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平成よ、ありがとう。 「平成27年–2015年」

平成27年、2015年3月14日。
北陸新幹線の、長野~金沢間が開業。
もっとも早い「かがやき」での所要時間は、
2時間28分。
金沢を訪れる観光客の数は急増し、
客足は今も途絶えることはない。

そして同じ年の8月23日。
上野~札幌間を運行していた寝台列車、
「北斗星」の運行が終了。
27年半の歴史に幕を閉じた。
上野駅13番線ホームは、
到着の1時間以上前から
ラストランを撮影しようとする
人々で埋め尽くされ、
回送列車が上野駅を発車すると、
「ありがとう!」の声とともに、
拍手が起こったという。

生まれる列車と、去る列車。
列車もそれぞれ、ひとつの時代だ。

平成よ、ありがとう。
いよいよ、令和へ。

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石橋涼子 19年4月28日放送


蟹・甘党
平成よ、ありがとう。 「平成29年–2017年」

平成29年といえば、
平成時代が幕を閉じることが決まった年でもある。

時代の節目となると、つい振り返ってしまいがちだが、
この年は、新時代の到来を感じさせる年でもあった。

史上最年少の中学生プロ棋士が登場し、
日本人初の陸上100メートル9秒台の記録が生まれた。
甲子園高校NO.1選手や二刀流メジャーリーガーなど
有望な若手の話題で日本中が盛り上がった。
そして上野動物園では待望のパンダの赤ちゃん
シャンシャンが誕生し、日本中がその成長に夢中になった。

過去と未来は常に、繋がっている。
ひとつの時代の終わりは、すなわち新しい時代の始まり。

平成よ、ありがとう。
いよいよ、令和へ。

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熊埜御堂由香 19年4月28日放送


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平成よ、ありがとう。 「平成30年–2018年」

平成30年に日本の「来訪神」が
ユネスコ無形文化遺産に登録された。
秋田のなまはげのような、
家まで来訪する神様たちだ。
全国の同じような風習の10の神様が登録された。

一部の地域では、過疎化と少子高齢化で、訪問する家が激減。
若手の神もなかなか募れず、身に応える。
それでも、次の時代に繋ぎたい。
「泣く子はいないか?」
という暖かい見守りの視点。

平成よ、ありがとう。
いよいよ、令和へ。

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福宿桃香 19年4月27日放送


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平成よ、ありがとう。 「平成元年」

平成の時代が始まったのは、1989年のこと。
当時まだバブル崩壊前だった日本では、
肩パッドや丸メガネ、太眉に赤リップなど
派手で押しの強いファッションが定番であった。

その後はカリスマのスタイルをみんなが真似した90年代、
そして、自分らしさを重視するようになった2000年代がつづく。

2019年現在、日本では再び太眉赤リップの時代が訪れ、
今年のパリコレには、バブルの再来を思わせる肩パッドも登場している。
平成と令和のはじまりは、案外、似ているのかもしれない。

平成よ、ありがとう
いよいよ、令和へ。

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仲澤南 19年4月27日放送


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平成よ、ありがとう。 「平成5年」

平成5年の女子高生にとって、
ポケベルは必需品だった。
数字や簡単な文字を受信できる、
小さな無線受信機だ。

人気に火をつけたのは、「語呂合わせ」。
平成5年当時のポケベルは、
数字しか送ることができなかった。
そのため女子高生たちは、
語呂合わせでメッセージを送ったのだ。
428で「渋谷」
724106で「なにしてる?」…。

そんなポケベル、
平成の時代が幕を閉じるのを追うかのように、
今年9月にサービスを終了する。
010…令和の時代には、
果たしてどんなコミュニケーションツールが
生まれるのだろうか。

平成よ、ありがとう。
いよいよ、令和へ。

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藤本宗将 19年4月27日放送



平成よ、ありがとう。 「平成9年」

平成は「破綻」の時代でもあった。
上場企業の倒産は200件を超え、昭和の3倍のペース。

その象徴的な年が平成9年だ。
11月3日、三洋証券が破綻。
同じ月に北海道拓殖銀行・山一證券・徳陽シティ銀行が
連鎖するように破綻し、
多くの銀行で取りつけ騒ぎまで起きた。
護送船団方式によって守られてきた
「金融機関はつぶれない」という神話の崩壊だった。

以後さまざま々な改革が行われ、いまも模索は続く。
それは日本経済を鍛え直す過程だという
見方もできるかもしれない。

平成は失われた時代だったのか。
次の成長への準備期間だったのか。
それを決めるのは、これからを生きる私たちだ。

平成よ、ありがとう。
いよいよ、令和へ。

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村山覚 19年4月27日放送


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平成よ、ありがとう。 「平成10年」

音楽を聴きたいという気持ちは
いつの時代も変わらないが、
音楽メディアは次々と変わってきた。

レコード盤、カセットテープ、CD、MD、
近頃では定額制のストリーミング配信や
動画サイトで聴くという音楽ファンも多いだろう。



音楽CDが最も売れた年は、平成10年。
ミリオンセラーのアルバムが25枚、シングルも14枚。
1年間に約4億5717万枚ものCDが飛ぶように売れた。
家で、車で、たくさんのCDが山積みになっているのが
当たり前の光景だった。

20年の時が流れ、今ではCDを一切買わない、
借りないなんて人も増えている。音楽チャートのランキングも、
CDが売れた枚数だけでなく、ダウンロード数や
ストリーミングの再生数を合算するようになった。

モノを所有して積み上げる時代から、モノを持たない時代へ。

そういう意味で考えると「ラジオから流れる音楽」というのは
とても現代的なものに思えてくる。大正14年から始まった
ラジオ放送は、次の時代も、いい音楽を皆さんにお届けする。



平成よ、ありがとう。

いよいよ、令和へ。

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