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澁江俊一 19年2月10日放送


SISU

フィンランドには
SISU(シス)という言葉がある。
日本語であえて言うなら
「大和魂」のような
心のありようを意味する言葉だ。

1939年。隣国ソ連と
冬戦争という過酷な戦争を戦ったフィンランド。
兵力には雲泥の差があり
他国からの支援もほとんどなかったが
マイナス40度という極寒の寒さと
自国の雪と森と湖を味方にしたフィンランド軍は
ソ連軍と勇ましく戦い、独立を守った。
まさにSISUの勝利だった。

とはいえSISUは根性論ではない。
逆境を前向きにとらえる力だ。
冬の寒い湖で泳いだり
雪の日にあえて散歩をしたり
苦手なことにあえてトライしたり
フィンランドならではの
人生の楽しみ方でもあるのだ。


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澁江俊一 19年2月10日放送

VisitLakeland
サウナと日本

フィンランドと日本はよく似ている。
言語も性格も食文化も歴史も似ているのだが
中でも似ているのは
大自然の中で裸になる、あの体験。
そう、日本人が温泉を愛してやまないように、
フィンランド人はサウナを愛している。

日本に銭湯があるように
公衆サウナが町中にあり
日本に露天風呂があるように
湖のほとりにサウナがあるフィンランド。

日本にサウナが広がったきっかけは
1964年の東京オリンピック。
世界中からやってくる選手たちの要望で
選手村にサウナがつくられた。
そこから日本中にサウナが広まった。

フィンランドはサウナ発祥の地。
サウナで汗を流した後に
美しい湖に裸で飛び込む。
あの体験は日本人にとっても
この上ない幸せにちがいない。


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澁江俊一 19年1月20日放送

190120-01
元号の漢字

今年は新たな元号が始まる年。

大化から平成まで
247もの元号が
日本の時代を彩ってきた。

だが元号に使われた漢字は
繰り返しも多く意外に少ない。
その数わずか72文字。

元号にもっとも多く
使われた漢字ベスト3。
2位と3位はともに27回で、
元気の「元」と、天下の「天」。

そして1位は
29回も使われた永遠の「永」。
古の人々も永く変わらぬ平和への願いを
この文字に込めたのか。

「元」「天」「永」
どれも明治以降、使われていない。
さて、次に選ばれる文字は何だろう。


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澁江俊一 19年1月20日放送

190120-02
信長と天正

今年は新たな元号が始まる年。

元号には、
その時代を生きる人々の
想いや願いが込められる。

西暦1573年。
織田信長は足利義昭を追放して
改元を朝廷に働きかけた。
その時いくつかの候補から
選んだといわれる元号は
天下の天に正しいと書いて天正(てんしょう)。

長く続く戦乱の時代に
天下を正そうとした
信長の意志を感じさせる元号である。

およそ20年間続いた天正時代。
しかし信長は天正半ばにして
本能寺の変により世を去る。

天下を正すという
信長の夢は幻となったが、
秀吉、そして家康へ
その意志は見事に受け継がれた。


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澁江俊一 19年1月20日放送

190120-03
元号の寿命

今年は新たな元号が始まる年。

日本の歴史上、
一番長く続いた元号をご存じだろうか?
正解は「昭和」。
64年を数えたのは、
世界で最も長い記録でもある。

反対に最も短いのは
わずか2か月と14日。
こよみの「暦(れき)」に、
にんべんに漢数字の二の「仁(にん)」で
「暦仁(りゃくにん)」という
鎌倉時代の元号だ。

その音の響きから
「人が省略される」などと風評がたち、
たちまち改元されてしまった。

多くの元号は3年もたずに
終わってしまうものが多かった。
天変地異や疫病などが起こると
しょっちゅう改元が行われた。

今年始まる新元号は
どうか、なるべく長く続くきますように。


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澁江俊一 19年1月20日放送

190120-04
元号を選んだ国

今年は新たな元号が始まる年。

かつては中国や朝鮮半島、ベトナムでも
それぞれの元号が使われていた。
しかし今、元号を使用している国は
世界でも日本だけになった。

元号は決して便利なものではない。
使いやすさなら西暦がまさるだろう。
それでも日本は元号を使い続ける道を選んだ。

大化の改新、応仁の乱、
元禄文化、明治維新など…
歴史上の出来事を
元号と深く結びつけて語り継いできた日本。

元号はいわば日本にとっての
豊かな歴史の象徴なのだ。


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澁江俊一 18年12月9日放送

181208-02 GGG
雪の名前

日本語には雨にも
いろいろ名前があるけれど
雪にもまたたくさんの名前がある。

細雪
粉雪
泡雪
名残雪
などの文学的な名前から

ざらめ雪
どか雪
しおり雪
など、積もりかたでついた名前。

こんこんと
しんしんと
はらはらと
など、降りかたの名前まで。

そのひとつで
覚えておきたい名前は、風花(かざはな)。

山などに降り積もった雪が風で飛ばされ、
晴れているのに小雪がちらつく様子。
からっ風で知られる群馬や静岡でよく見られる。
すぐに溶けてしまう、風に舞う白い花。
ぜひ一度見てみたい。


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澁江俊一 18年12月9日放送

181208-03
江戸の雪だるま

日本は雪の多い国。
日本人と雪には
昔から深いつながりがある。

江戸時代の雪だるまの形をご存じだろうか?
描いたのは江戸後期の浮世絵師、
歌川広景(うたがわひろかげ)。
これはとても貴重な文化資料だ。

その雪だるま、
人の背丈よりかなり大きく
あの赤いだるまと同じ形。

顔の前には魚などの
お供え物が置かれている。
どうやら縁起物だったようだ。

江戸時代の浮世絵には他にも
雪で大きなガマ蛙や仔犬を
つくる様子も描かれている。

子どもだけではなく
大人たちも楽しそうに
雪の中を動き回っている。

いつか溶けてなくなる雪で
愛らしい形をつくりだす。
雪と遊ぶ日本の粋な心がここにある。


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澁江俊一 18年11月11日放送

181111-02
食欲と落語

秋と言えば食欲の秋。

人間の「食べたい」という
抑えがたい欲望を見事に描いた
古典落語「千両みかん」。

病に倒れ、みかんを食べたいと願う
若旦那のため、真夏にも関わらず
探し回る番頭。

ようやくひとつだけ見つけた
腐っていないみかんには
なんと千両もの値がついてしまう。
それでも旦那はせがれを救うため
惜しげもなく大金を投じる。

念願果たした若旦那の
食べ残したわずかなみかんを
思わず持ち逃げする番頭・・・

笑いながら聞いているうちに
なんともみかんが食べたくなる、
粋な噺である。


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澁江俊一 18年11月11日放送

181111-03 Cea.
食欲と神様

秋と言えば食欲の秋。

食欲は性欲や睡眠欲と並ぶ
人間の根源的な欲求だ。
今でこそ食欲旺盛な人は多いが
かつて宗教は食欲を
良からぬものとみなしていた。

ブッダの言葉では

 およそ苦しみが起こるのは、
 すべて食料を縁として起こる。
 諸々の食料が消滅するならば、
 もはや苦しみの生ずることもない。


と断食を大切な修行の一つとするし、聖書にも

 あなたが食欲の盛んな人であるなら、
 あなたののどに短刀を当てよ。


と食べ過ぎをたしなめる。イスラム教では
ラマダンという断食の期間があるほどだ。

いつでも食欲を満たせるのは幸せなこと。
でもだからこそ、時には食欲を我慢してみると、
意外な悟りが開ける…かもしれない。


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