名雪祐平  09年10月11日放送

宇野千代


宇野千代

ラブレターを書こう。
とても上手に。

そんなとき、
恋に生きた作家・宇野千代の
アドバイスが助かる。

私はあなたが好きです。

こういう書き出しが、いちばん。
かんたんで、わかりやすくて、
使い慣れた飾り気のない言葉ほどよい。

恋に、文章に
生涯をかけてきたからこそ言える、
シンプルな教え。

お試しあれ。

サルバドール


サルバドール・ダリ

幼い息子が死んだ。
両親は悲しみ、その子と同じ名前を
次に生まれた弟にも名付けた。

やがて少年となった弟。
ある日、兄の墓を見て、衝撃をうける。

墓に刻まれていたのは、
まちがいなく自分の名前。

サルバドール・ダリ

 自分は生きているんだ!
 そう証明しなければ。

死への強烈な抵抗。
それが天才画家ダリの作品にほとばしる
生命力の源かもしれない。

ジョーン


ジョーン・バエズ

プロテストソングを歌い、
ボヴ・ディランがカリスマになった60年代。
女性フォークシンガーの代表は、
ジョーン・バエズ。

ベトナム戦争の底なし沼に
アメリカがどっぷりはまっていたころ、
彼女はこんな発言をした。

 私は過去3年間、
 所得税のうち40%しか払っていません。
 国家予算の60%は軍事費ですから。

歌と行動。
ただごとではない覚悟が、そこにある。

さて、プロテストソングが
あまり聴こえない近ごろは、
60年代より平和なのだろうか。

松下幸之助


松下幸之助

経営の神様、松下幸之助。

昔、彼が採用面接をしていた頃、
必ずした質問が、

 あなたの人生は、
 いままでツイていましたか?

ツイていません。と答えると不採用。
はい、ツイていました。と答えれば全員採用。

物事は自分の力だけじゃない。
ツイています、と言える人には
周りへ感謝する才能があり、
いい人材に育つのだという。

神様の質問は、やっぱり、意味深。

ガルリ


ガルリ・カスパロフ

史上最強のチェスの王者、
ガルリ・カスパロフ

彼の前に、怪物が現れる。
IBM製スーパーコンピュータ「ディープ・ブルー」

1997年、世紀の決戦は、
「人間 対 機械」という哲学の現場になった。

世界が息詰まる大接戦。
機械の、圧倒的な分析力。
冒険しないぶん、リスクもすくない。

結果は1勝2敗3分けで、人間の敗北。
それでも、人間の王者は誇らしくこう言った。

 人間に直感が備わっていてよかった。

たしかに。分析力だけなら、
機械の圧勝だったろう。
でも、冒険しないゲームなんて、ゲームじゃない。

淡谷のり子


淡谷のり子

ぜいたくは敵だ。
ドレスなど、もってのほか。

そんな戦時中にも、
ブルースの女王・淡谷のり子は
歌うためのドレスを絶対に脱がなかった。

ステージを見張る憲兵に、
もんぺをはけ!と怒鳴られても、

 ドレスは私の戦闘服よ!

と啖呵を切った。

何度も、何度も書かされた始末書。
それは、歌うことに一切妥協しない
自分への勲章でもあった。

ドヴォルザーク


ドヴォルザーク

作曲家ドヴォルザークは、
鉄道オタクでもあった。

作曲以外の時間は、
機関車の模型作りに没頭するか、
町の操車場で、
何時間も飽きずに機関車を眺めていた。

 ♪ユーモレスク〜

このユーモレスクの調べも
汽車に揺られながら思いついたとか。

無料の高速道路もいいけれど、
鉄道の旅がしたくなりました。

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