小林秀雄
この世でいちばん難しいのは
人を励ます、ということだ。
入院中の坂口安吾を
見舞った小林秀雄。
ヒロポンの過剰摂取で
病院にかつぎこまれた安吾に向かって
「大馬鹿野郎、大馬鹿野郎」と
何十回も浴びせかけた。
そのとき安吾は
見たこともないほど
ニコニコと笑っていたという。
人を励ますということは
本当に難しい。
アインシュタイン
「死とは、
モーツァルトを
聴けなくなることだ。」
かのアインシュタインが
のこした有名な言葉。
しかしこれ、
実は従兄弟の音楽家、
アルフレート・アインシュタインが
言ったという説もある。
相対性理論とモーツァルト。
この組み合わせの方が
たしかに神秘的でかっこいい。
名言とは
残された者たちの
感傷がつくりだす
のかもしれない。
ネロ
希代の暴君、
ローマ皇帝ネロ。
彼はわざわざ
アルプスから万年雪を
奴隷に運ばせて
はちみつを混ぜて
デザートをつくらせた。
「ドルチェ・ビータ」
それが、
アイスクリームの起源。
苦い歴史でできあがった
甘い禁断。
いまの季節、
こたつに入って食べると
特にいけない味がする。
アラン
フランスの偉大な哲学者、
アラン。
「幸福論」で有名な彼が
初めて結婚したのは77歳の時。
思いをよせつづけた女性と
運命の再会を果たしプロポーズ。
人生の終わりに訪れた
最高の最大の幸福であったはず。
しかし、
あらゆる幸福についての記述がある「幸福論」には
彼自身の幸福については一切書かれていない。
どんな哲学者だって
ほんとうの幸福は
胸にしまっておきたいもの。
エスコフィエ
フランス料理の神様、
オーギュスト・エスコフィエ。
彼がいまだに神様と
いわれる理由は
いくつもある。
多くの文化人をうならせ
時には皇帝さえもひざまづかせる腕。
つくったレシピは5000以上。
貧しい人には無償で料理をふるまった。
でも何より賞賛されるべきは
コース料理という概念を
つくりだしたこと。
おかげで一流レストランでも
限られた予算で
食事ができるようになった。
お会計にびくびくしたくないのは
今も昔も同じ。
宮良長包
「沖縄よいとこ 一度はおいで
さぁユイユイ」
二月の憂鬱に負けそうになったら
沖縄民謡「安里屋ユンタ」を聴こう。
作者の宮良長包は言う。
「音楽は栄養です。」
三線の音はたしかに体にしみこんで
心に春を呼んでくれる。
そういえば沖縄では
すでに桜は満開。
「春夏秋冬 花見て暮らす
さぁユイユイ」