三島邦彦 12年2月5日放送


野球をおもしろくした男たち/新庄剛志

プロ野球選手にとってグローブは大事な商売道具。
一流選手はオーダーメイドの一品を、職人と一緒に作り上げる。
しかし、激しい消耗のため、ほとんどの選手は毎年グローブを変えることになる。

1990年に阪神タイガース入団。
メジャーリーグを経て、2006年に日本ハムファイターズで引退を迎えた新庄剛志は、
その17年間のプロ野球生活を通じ、たった1つのグローブを使い続けた。

それは、18歳の時、プロ入りして初めての給料で買った7500円のグローブ。
壊れても、壊れても、何度も補修を重ねて使い続けた。

グローブの形が微妙に変わるからと、自分以外の誰もそのグローブに指を通すことを許さなかった。メジャーリーグ時代、チームメイトがそのグローブに触れてケンカになったこともあったという。

引退会見の場に現れた新庄はテーブルにそのグラブを置き、こう言った。

こいつがもうプレーできないといってました。

その華麗な守備でファンを魅了した野球人生は、
まさに、グローブと生きた日々だった。




野球をおもしろくした男たち/藤田元司

実力はあるのにピンチになると動揺し、自滅してしまう。
その気の小ささから「ノミの心臓」と呼ばれるピッチャーが
かつてジャイアンツにいた。

平成元年、藤田元司(ふじたもとし)監督が就任。
春先、藤田監督はその投手にやさしく声をかけた。

  おまえは気が小さいんじゃない、優しいんだ。
だからもっと自信を持てばいいんだ。

その投手の名前は、斎藤雅樹(さいとうまさき)。
この年、連続完投勝利の日本記録を樹立し、一躍巨人のエースの座へ。
欠点を長所に変えるひと言が、平成の大投手を生んだ。




野球をおもしろくした男たち/足立光宏

1976年11月2日。
後楽園球場では巨人対阪急の日本シリーズ第7戦が行われていた。
阪急ブレーブスの先発は、足立光宏(あだちみつひろ)。
巨人ファンの声援が轟くマウンドで静かにつぶやいた。

 騒げ・・もっと騒げ。

結果は足立の完投勝利。阪急が日本一を勝ち取った。

命までは取られはしない。
その冷静さが、勝利を呼んだ。

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