2012 年 3 月 18 日 のアーカイブ

藤本宗将 5月から参戦

藤本宗将(写真左)が2012年5月から参戦します。

topへ

石橋涼子 12年3月18日放送


kontenten
動物と人 猫と寺田寅彦

寺田寅彦はあらゆるものに興味を持ち
こんぺいとうや蚊取り線香、ガラスの割れ目まで
研究した学者だが、実は猫が苦手だった。

40代のころ、屋根裏のネズミ退治のために
渋々、苦手な猫を飼うことにした。

とたんに寺田は猫に夢中になった。
しかしその研究成果はというと、

猫ののどをかいてやると、ゴロゴロと鳴る。
しょっちゅう居眠りをする。

その報告を聞いた家族はおおいに笑ったという。


しんしん
動物と人 猫と三島由紀夫

三島由紀夫が猫好きだったことは
意外と知られていない。

幼い頃から猫をかわいがっていたのだが、
妻が大の猫嫌いで飼うことが許されなかったのだ。

作家仲間の林芙美子に宛てた手紙には
いかに自分が猫好きかを綴っている。

あの小賢しいすねた顔つき、きれいな歯並び、冷たい媚び、
なんともいえず私は好きです。

だなんて、まるで惚気のよう。

三島が猫に会うのは妻が寝静まった深夜だ。
書斎の窓を猫が叩くのが合図。
机の引き出しに隠しておいた煮干し片手に
毎晩逢い引きをしていたのだという。

その愛し方は、なんだかとても三島らしい。

topへ

小野麻利江 12年3月18日放送


Ted Abbott
動物と人 チンパンジーとジェーン・グドール

1960年。26歳のジェーン・グドールは、
類人猿のフィールド調査のため、
タンザニア・ゴンベのジャングルで、
野生のチンパンジーの群れの中に入り
共同生活をはじめた。

徐々に群れのそばまで近づけるようになり、
一頭一頭の顔と特長をつかんだジェーンは、
彼らに名前をつけていく。

だがそれは、当時の動物行動学の世界では、
厳しく禁じられていた。
「個性」や「感情」は人間特有のものと考えられ、
調査対象は客観的に、「番号」で呼ばれていた。

しかし、学位も経験も持たないジェーンは
そんなルールにとらわれなかった。

わたしは子どものころから動物に名前をつけ、
名前で呼んできた。

動物について多くを学んだのは大学ではなく、
犬のラスティをはじめ、代々飼っていた猫たちや
モルモット、ゴールデンハムスターたちからだった。

その後ジェーンは、一匹のチンパンジーが
小枝をつかってシロアリを釣りあげる様子を目撃。
「チンパンジーも道具を使いこなす」という発見は、
ヒトとチンパンジーの境界線にまつわる
通説を、くつがえした。

topへ

茂木彩海 12年3月18日放送


nicoventurelli
動物と人 金魚と深堀隆介

アーティスト、深堀隆介には
「金魚救いの日」という記念日がある。

12年前のその日。

スランプと戦っていた彼は
いっそのこと、もう何もかもやめてしまおうかと思っていた。

ごろんと寝転がったその目線の先にあったのは、
7年前の夏祭りですくった金魚が泳ぐ水槽。
そういえば最近めっきり世話をしていない。

水槽のふたを開いて、
おそるおそる上から覗き込むようにして見る。

その瞬間、直感した。

この子が、きっと僕を救ってくれる

濁った水の中で怪しく光る、美しく毒のある赤い肌。

横から見ると魚のかたちに変わりないのに、
上から見ると水面との屈折で、ぺたんと平面に見える。
平面と立体の間で自由に泳ぐ姿は、何とも魅力的だった。

すくった金魚に救われた男は、
それからずっと金魚を描き続けている。


kevin dooley
動物と人 ミミズとダーウィン

この生き物以上に、
地球にとって大事な役割を果たし続けてきた動物はいない。

チャールズ・ダーウィンにそう言わしめた動物。

ミミズ。

彼らは、人間が鍬を持つよりずっと前から大地を耕し続けてきた。

ミミズのおかげで、植物が育ち、
その植物を食べる昆虫があつまる。
そして、その昆虫を食べる鳥があつまり、
その鳥を食べる人間も集まる。

私たちの生活は、ミミズ中心に回っている。

そう思うと、思わず地面に向かって、
ひとこと感謝したくなる。

すごいぞ、ミミズ。ありがとう、ミミズ。

topへ

薄景子 12年3月18日放送


しょうちゃん
⑥動物と人 ぷースケと由美子さん

人間なら125歳超。
ギネス認定の長寿犬、ぷースケ。
名前の由来は、

見た目がぷーという感じだったから

ある日、飼い主の由美子さんが買い物から帰ると
5分後に、眠るように息をひきとった。

世界一の長寿の理由は、
愛すべきのんきな名前をくれた由美子さんと
1日でも長く一緒にいたかったから、じゃないかな。

topへ

熊埜御堂由香 12年3月18日放送


soupboy
動物と人 ロッキーとトットちゃん

黒柳徹子のエッセイ『窓際のトットちゃん』
には、小さい頃の愛犬、
シェパードのロッキーが親友として登場する。

ある日のこと、ふざけたロッキーが
トットちゃんの右耳を噛み千切った。
耳はぶらぶら、血が噴出した。
けれどロッキーをかばい泣かなかった。

病院から帰ると、ロッキーがいない。
はじめてトットちゃんは大声で泣いた。
するとソファーの陰からロッキーがのぞき、
大丈夫なほうの耳をそーっとなめた。

包帯だらけのトットちゃんは言った。
これで、ロッキーと
もっと仲良くなったわ。

トーク番組の聞き手として
誰の心にも優しく入っていく徹子さんは、
動物にも
心の垣根をつくらないひとだった。

topへ


login