三島邦彦 12年9月9日放送



自然と人 石牟礼道子(いしむれ みちこ)

『苦海浄土(くがいじょうど)』という本がある。
作者は、石牟礼道子(いしむれ みちこ)。
水俣市で主婦をしながら書きためたこの作品は、
水俣病患者たちを描く澄んだ筆致とリアリティが高く評価され、
ノンフィクションの傑作として第一回大宅壮一賞を受賞した。
しかし、石牟礼はこの賞を辞退する。

  水俣病は人間の原存在の意味への問いである。

そう語る石牟礼が台所の片隅で日々筆を執った切実さ。
沈黙に光を射し、患者たちの心を代弁すること。
それが彼女の求めるすべてであり、
それ以上は何も必要なかった。

タグ:

«    »

topへ

コメントをどうぞ

CAPTCHA



login