三島邦彦 12年9月9日放送



自然と人 田中正造(たなかしょうぞう)

その人は今も歴史の教科書の挿絵の中で
警察官に組み伏せられながら何かを訴えている。
名前は、田中正造。

衆議院議員の正造はある日、
栃木県の足尾銅山のふもとにある
村の死亡率が異様に高まっていることを知る。
村を流れる渡良瀬川では魚たちが死に、
森の木は枯れはじめているという。
正造は、これを一生の一大事とした。

十年に渡り議会で鉱毒問題を扱ったが
状況は改善できなかった。
議員活動の限界を感じると、
財産をすべて寄付し、
鉱毒に苦しむ人々の村へと入っていった。
村人の家を転々としながら、
村人の立場で鉱毒問題に取り組んだ。

近代文明の本質にある闇を、正造は鉱毒問題に見ていた。
正造の日記には、こんな言葉が書かれている。

 真の文明は 山を荒さず 川を荒さず 村を破らず 人を殺さざるべし

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