古居利康 12年12月16日放送



尾崎行雄の95年 ③

咢堂・尾崎行雄。別名、憲政の神様。
1890年、32歳で第一回衆議院総選挙で当選して以来、
1953年、95歳で落選するまで、25回連続当選。
63年の長きにわたって国会議員の職にあった。

尾崎行雄の生涯をたどることは、
議会政治の歴史を知ること。

1891年の第二回総選挙で、
政府の露骨な選挙干渉がおこなわれ、
票の売買がはびこったときも。

高額納税者だけに与えられていた選挙権の
制限を撤廃する普通選挙の運動が
燃えさかったときも。

日清・日露の両戦争で発言権を増した
陸海軍が国会に軍備増強を突きつけたときも。

国会にはいつも尾崎行雄がいて、
つねに正論を唱え、政府の方針を糾していた。

やがて泥沼の戦争に向かう1940年代、
自らの基盤としていた政党が、こぞって
大政翼賛会に合流し戦争遂行に走った時代にあっても、
尾崎行雄だけは政府非推薦をつらぬいて当選し、
国会議員でありつづけた。

太平洋戦争が終わった翌年、
女性が初めて選挙権を手に入れた。
1890年の第一回総選挙から数えて22回目。
この国が初めて経験する完全普通選挙だった。
この年。尾崎行雄、88歳。政界引退を決めていたが、
支持者が許さず、またもや当選。
連合国による占領下の日本は、まだ尾崎を必要とした。

そして、今日、2012年12月16日。
第46回衆議院総選挙。地下に眠る憲政の神様は、
いまの政治家に何を思うだろう。

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