2012 年 12 月 9 日 のアーカイブ

高田麦 12年12月9日放送


偶然を集める人 赤瀬川原平

世の中には、
意味のないものを愛でる人がいる。

ただ昇って降りるだけの意味不明な階段、
何を仕切っているのか推察不能なガードレール、
色あせて文字の一部が読めなくなっている看板など…。

70年代、これらの美しさを発見した赤瀬川原平は、
トマソンと名づける。
そして、街中で自分の感性が反応したものに
次々とカメラを向け、採集していった。

今も散歩を続ける赤瀬川の言葉。

 この世は偶然に満ちている。
 街はいづれ老朽化し、その隙間から、
 追い出された偶然がまた顔をのぞかせる。
 カメラにはそれが美味しい。


何の変哲もない風景も、
見る人間次第でまったく違うものとなるらしい。

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岡安徹 12年12月9日放送


靴を集める人 イメルダ・マルコス

フィリピン共和国第10代大統領夫人、
イメルダ・マルコス。独裁者の妻として、
また驚くべき靴コレクターとして
その名を世界に轟かせた美女。

総数3000足と言われたコレクションは
壁一面のクローゼットを埋め尽くし、
ハイヒールから乗馬用ブーツまで
一生かかっても履ききれないほどを集めた。

ある時、華やかな生活を皮肉られ言われた
「3000足もお持ちとはさぞやご満足でしょう」と。

イメルダはこたえた。
「3000足なんて持っていません。1060足です」と。

一見、皮肉に言い返しただけとも思える一言。
しかしそこに、独裁者という悪名に隠された彼女の素顔が見えた気がする。

それは、靴の一足一足にまで愛着を持って接し、
人生を賭けて美を追究した健気ともいえる姿勢だった。

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岡安徹 12年12月9日放送


人を集める人 坂本龍馬

日本の歴史が大きく動いた、幕末期。
多くの若者が新時代の幕開けを期待し
動乱の渦中に身を投じていた時代。

居並ぶ傑人の中でもひときわ多くの者に影響を与え、
心を惹きつける男がいた。その名は坂本龍馬。

なぜ、龍馬の周辺には多くの人は集まったのか。
その答えに近づく言葉がひとつ残されている。

龍馬曰く
事は十中八、九まで自らこれを行い、
残り一、ニを他に譲りて功をなさしむべし。


花道を譲ること。
簡単そうで難しい、功名心にとらわれない生き方を貫いたからこそ
明治維新という険しい道の真ん中を、龍馬は歩いて行けたのもしれない。

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宮田知明 12年12月9日放送


集めるひと 松下幸之助

経営の神様、と言われた男、
松下電器産業、
現Panasonicの創業者、
松下幸之助。

いかにして、良い人材を集めるか、
という問いに、彼はこう述べている。

一流の人材ばかり集めると、会社はおかしくなる。

世の中、賢い人が揃っていれば
万事うまくいくというものではない。
むしろ、うまくいかないことの方が多い。

松下は、優秀な人材を集めるというより、
集まった人を育てる、という考え方をもっていた。
松下曰く、

 松下電器は、人をつくる会社です。
 同時に、電化製品もつくっています。



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宮田知明 12年12月9日放送


集めるひと 野村克也

再生工場、と言われたプロ野球の名監督、
野村克也。

伸び悩む選手や、他球団で戦力外となった選手、
トレードで獲得した選手を、
コンバートや起用法を変えて活躍の場を与えたことから、
そんな異名がついた。

選手たちを、どうやってうまく導くのかを
聞かれたときの、彼の言葉。

監督業とは、気づかせ業である。

活躍している選手を集めてくるのは、
強いチームだからできること。
そうではないチームだからこそ、
野村の、選手の素質を見抜く力が、
いい選手を集めることにつながった。

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渋谷三紀 12年12月9日放送


集める人 ハーブ&ドロシー

夫のハーブは郵便局員、妻のドロシーは図書館司書。
ふたりの楽しみは現代アートの収集。
選ぶ基準はふたつだけ。
お給料で買える値段。
1LDKのアパートに収まるサイズ。

つつましい暮らしの中で、30年の歳月をかけて。
コツコツ集めた作品は4000以上。

アパートいっぱいに並べられたそれは、
アート史に名を残すミニマルアートや
コンセプチュアリズム・アーティストの名作ばかり。

それは、お金以上に愛情をかけてつくりあげた
ふたりだけのコレクション。
妻のドロシーは、こんなことを言っている。

美意識は人それぞれのものでしょう。
ハーブをハンサムだと思わない人はたくさんいるけど、
私にとってはキュートで魅力的な人なの。

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渋谷三紀 12年12月9日放送


集める人 タモリ

ある漫画家が、
タモリにこんな相談をした。

漫画家の自分がテレビに出ると、
必ずネットで悪口を書かれる。
自分はテレビに出ていいんでしょうか。

タモリは言った。

 出ていいんだよ。でも、
 出るなら見るな。見るなら出るな。だよ。


年下へのアドバイスは難しい。
ただの慰めでも、恩着せがましくてもいけない。

役に立つこと、言ってほしいことを言ってくれる。
タモリが若手の人望を集めてしまう理由が、
わかる気がする。

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渋谷三紀 12年12月9日放送


集める人 みうらじゅん

観光地で出くわす
「こんなの誰が買うわけ?」
と、問いただしたくなる土産物たち。

マイブームの生みの親、みうらじゅんさんは
それらを「いやげもの」と呼んで、
コレクションしている。

さすがに、これはいらないな。
思いとどまりそうになったとき、
みうらさんがいう言葉がある。

そこがいいじゃん。

使い方はこう。

 このペナント、大きすぎるよね。
 ・・・そこがいいじゃん!


 この人形、かわいくないよね。
 ・・・そこがいいじゃん!


視点をくるっと回転させて、
嫌いなものをなくしてしまう、魔法の言葉。
うまく使えば、生きるのが、すっと、楽になる。

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