佐藤延夫 13年3月2日放送



刑事コロンボと小池朝雄さん

アメリカのテレビドラマ「刑事コロンボ」が日本で放映されたとき、
コロンボの吹き替えを担当したのは、俳優の小池朝雄さんだった。

「あたし、ロス市警のコロンボです。殺人課の」
「うちのカミさんが、あなたの大ファンなんですよ」
「すみません、最後にもうひとつだけ」

このような短いセリフもおなじみだが、
「殺しの序曲」という作品には、コロンボが半生を語った名言がある。

「あたしは、どこ行っても秀才ばかり出会ってね。
 ああいうのが大勢いちゃ、刑事になるのも容易じゃないと思ったもんです。
 だからあたし、考えましたよ。
 連中よりもせっせと働いて、もっと時間をかけて本を読んで、
 注意深くやりゃあ、ものになるんじゃないかってね。
 ・・・なりましたよ。
 あたしは、この仕事が心底、好きなんです」

小池さん独特の言い回しは、まさにコロンボそのものであり
声を聞くだけでコロンボの表情が目に浮かぶ。
刑事コロンボは、字幕ではなく、吹き替えで楽しむべきドラマだ。

小池朝雄さんも、ピーター・フォークもすでに亡くなってしまったけれど、
私たちの心に生きているコロンボは、いつもあの声で、難事件を解決してくれる。

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