2013 年 3 月 10 日 のアーカイブ

熊埜御堂由香 13年3月10日放送


出発のはなし1 野口英世の言葉

 モノマネから出発して、独創にまでのびていくのが、
 我々日本人のすぐれた性質であり、
 たくましい能力でもあるのです。


明治時代に海外で活躍した数少ない日本人、
細菌学者野口英世の言葉。

この言葉は野口自身の言葉であり
同時に明治の昔に
国を背負って海外で働く人間の言葉としても
納得できる。

「学ぶ」と「真似る」は
日本では同じ語源をもつ言葉だという。

「真似る」からの出発を恐れることはない。


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熊埜御堂由香 13年3月10日放送


出発のはなし2 三浦しをんの就職活動

直木賞作家、三浦しをん。
就職活動で、提出した作文の面白さが
編集者の目にとまり、作家になるよう勧められた。
結局、かたっぱしから受けた出版社は全滅で、
フリーター兼作家になった。

本は売れないし、バイトしながら
年を重ねていくのかなと、弱気になっていたとき、
中学からの女友達がさらりとこういった。

 いざとなったらあんた一人ぐらい食わせてあげるよ。

ふっと心が軽くなり、
それから彼女はどんどん小説を書いた。

誰かが自分を見守ってくれる。
そう思ったときが三浦しをんの出発点だった。



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小野麻利江 13年3月10日放送


出発のはなし3 武田百合子の日記

まだ知らない場所へと旅立つ瞬間は
一抹の不安も入り混じり。
心からワクワクしているのか、嬉しいのか、
実はよく分からない。
冒険の最初の一歩が達成されたあと
徐々にうれしく感じるというのが
本当に正直な、心のありように思える。

昭和44年。随筆家の武田百合子は、
夫・武田泰淳のロシア旅行に同行する。
「連れていってやるんだからな。
 日記をつけるのだぞ」
夫にそう言われて
走り書きでつけ続けた日記は
『犬が星見た ロシア旅行』という一冊になり
出発の瞬間のあの独特の感情を
今も多くの読者に、呼び起させる。

 百合子。面白いか? 嬉しいか?

横浜大桟橋で見送る知人たちの表情が
するすると離れて見えなくなったのち。
甲板から船の中に戻り、
ビールを飲みながら尋ねる夫に
百合子はこう答える。

 面白くも嬉しくもまだない。
 だんだん嬉しくなると思う。




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薄 景子 13年3月10日放送


出発のはなし4 先人たちの言葉

芸術家、岡本太郎は言った。

 金と名誉を否定したところに、
 人間のほんとうの出発点がある。


哲学者、アンリ・ベルクソンは言った。

 どこまで行けるか、確める方法は唯一つ。

 すぐにでも、出発して、歩き始めることだ。


先人たちは教えてくれる。
すべての出発は、新たな自分への
旅立ちだということを。



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石橋涼子 13年3月10日放送


出発のはなし5 広岡浅子の推進力

大阪屈指の両替商、加島屋の若旦那の花嫁は、
京都の豪商三井家のお嬢さんだった。
広岡浅子、17歳。

世が世なら、坊ちゃん育ちの夫と一緒に
おかみさんとして優雅に暮らしたのかもしれない。
しかし、時は明治維新まっただなか。
幕末の混乱とともに両替商は軒並み倒産した時代だ。

数字に強く、時代を読む能力にもたけ、
なによりも負けず嫌いな浅子は、
のんびり屋の夫に代わり店を切り盛りした。
借金を踏み倒そうとする大名や武家には
武士道を説いて諭し、
事業拡大した炭鉱経営では護身用のピストル二丁を手に
荒くれ男たちと寝食をともにしたという。

歴史の中で潰れる運命にあった加島屋は、
浅子によって銀行・商社・保険業まで手がける
大企業へと成長した。

波乱の時代に臆することなく前進し続けた彼女の、
出発に対する持論。

 何でも初めから無理と思うたら、
 結果もそのようになります。
 無理でも目的を立てて、どないしたら完遂でけるか、
 焦点を絞っていくことが大切どす。




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薄 景子 13年3月10日放送

colin.bischoff
出発のはなし6 植村直己

冒険家、植村直己。

「山はやめる」と妻に誓って
結婚したにもかかわらず、
「これは山じゃないから」と
子どものような言い訳をし、
生涯冒険家として、新たな目標へ旅立ちつづけた。

そんな植村が残した言葉。

 出発するとすぐ、帰ることばかり考えるんですよね。
 それがある一定のところまで進むと、
 もう引き返しのきかない状況までくるわけです。
 そこで初めて、先に進むことだけしか考えなくなるんです。


不安のない出発など、きっとない。
しかし、自分で踏み出す一歩一歩が、
やがてとてつもない力になる。



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茂木彩海 13年3月10日放送

florence craye
出発のはなし7 スナフキン

スウェーデン語で、
「嗅ぎたばこのあいつ」の意味を持つスナフキン。

トーベ・ヤンソンが描くその自由気ままな生き方に
つい憧れてしまう大人も多いかもしれない。

そんな彼から、この春旅立つあなたへメッセージ。

 長い旅行に必要なのは
 大きなカバンじゃなく、口ずさめる一つの歌さ。




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茂木彩海 13年3月10日放送

Alé
出発のはなし8 パウロ・コエーリョ

ブラジル、リオ・デ・ジャネイロを代表する作家
パウロ・コエーリョ。

大学の法学部を突然やめたかと思えば、世界中を旅し、
帰国後はレコードの作詞をはじめるも、とつぜん仕事を放棄。
再び旅に出たのち、現在は小説家として活動している。

そんな彼の言葉。

 一本の道を決めるということは、

 ほかの道をあきらめるということだ。
 
まだ人生はまるごと残っている。


目的地をひとつにする必要なんかない。
どこに到着するか楽しみにしながら踏み出す、
そういう出発があってもいい。



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