Raoul Luoar
007の作り方①「スーツ」
「007」と他のアクション映画の決定的な違い。
それはスーツだ。
英国諜報部員ジェームズ・ボンドの
表の顔はエリート商社マン。
スーツの似合う男でなければならない。
初代ボンドを演じたショーン・コネリーは
スーツを着なれていなかったため、
監督から寝る時もスーツでいるよう命じられた。
セヴィルロウ、ブリオーニ、トム・フォード。
すべてオーダーメイドのクラシック。
ボンド映画は何十年間も観返されるため、
時代を超えて洒落て見えなければならない。
原作者イアン・フレミングは服に興味がなく、
擦り切れた安物のスーツばかり着ていたことは
あまり知られていない。
2014 年 11 月 15 日 のアーカイブ
佐藤理人 14年11月15日放送
佐藤理人 14年11月15日放送
Pineapples101
007の作り方②「ガール」
ボンドガールの歴史は、
女性の進化の歴史でもある。
美しくグラマーなだけでなく、
知的でタフな自立した大人の女性。
1962年の初代ボンドガール、
ウルスラ・アンドレスから
彼女たちは時代を先取りしていた。
90年代末より、
ハル・ベリーやソフィー・マルソーなど
有名女優が起用されるようになると、
彼女たちは敵や味方として
さらにボンドを圧倒し始める。
しかし最もボンドを苦しめた女性といえば
この人しかいない。
史上最高齢の72歳で起用された
ジュディ・デンチ。
なんといっても彼女は
ダニエル・クレイグ演じる
6代目ボンドの上司「M」として、
彼を死ぬほどこき使うのだから。
佐藤理人 14年11月15日放送
007の作り方③「ソ連」
冷戦はすぐに終わる
「007」の脚本を書き始めた1959年、
原作者イアン・フレミングは、
諜報員だった自分の経験からそう考えた。
ジェームズ・ボンドの敵役として彼は
いかなる国家にも属さない
架空の秘密組織「スペクター」を作った。
しかし映画が公開された60年代、
冷戦はさらに激化。
ソ連が敵になるのに時間はかからなかった。
その最大の敵の崩壊から約四半世紀。
中東のテロリスト、南米の麻薬王、北朝鮮、
かつての仲間などさまざまな脅威が
ボンドの前に現れた。
冷酷で邪悪な手強い相手は何人もいた。
しかしイデオロギーという鎖に縛られた
悲しい敵はもうどこにもいない。
佐藤理人 14年11月15日放送
007の作り方④「ムーア」
007にならないか
1971年、ロジャー・ムーアの元に
3代目ジェームズ・ボンド役のオファーが来た。
2代目ボンド、ジョージ・レーゼンビーは一作で降板。
ショーン・コネリーの代役は
誰にも務まらないように思われた。
だが彼は受けた。
ローレンス・オリビエの後に
ハムレットを演じた俳優のことを思えば
大したことじゃない
役作りのヒントを彼は原作に求めた。
ボンドは殺しが好きではなかった
これだ。コネリーのボンドは冷酷な殺しのプロ。
なら自分は上品で優しいボンドになろう。
持ち前のルックスとユーモアを生かした
この作戦は大成功。
彼は歴代最多の7作で主演を務めた。
007の武器はたくさんある。
しかし彼を演じる俳優の武器は一つしかない。
ムーア曰く、それは
自分の個性
だそうだ。