2014 年 11 月 1 日 のアーカイブ

佐藤延夫 14年11月1日放送

141101-01

あの人の妻/クリスティアーネ・ゲーテ

ドイツの詩人ゲーテは、38歳のとき恋に落ちた。
そのお相手は、クリスティアーネ。造花工場で働いていた。
宮廷貴族と、平凡な娘。
身分違いの恋が明るみになると、
世間からは不快な言葉が浴びせられた。
しかし、ふたりの関係はその後、28年も続く。
その理由は、クリスティアーネがとても有能な主婦であったこと。
倹約家で勤勉で、どんな労働もいとわなかったという。
もちろんそれだけではない。
ゲーテのこんな言葉が残っている。

「彼女は、かつての彼女のままであり続けている」

変わらないことは、偉大なのだ。

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佐藤延夫 14年11月1日放送

141101-02

あの人の妻/コジマ・ワーグナー

ドイツの作曲家ワーグナーの妻コジマは、
幼いころから彼の作品に心酔していた。
そして、夫がいる立場でありながら、
24歳も年上の天才作曲家に惹かれていく。
コジマは三角関係の果てに、ワーグナーと再婚する。

彼女の才能が花開いたのは、
神のように崇めていた夫、ワーグナーが亡くなったあとだった。
音楽や舞台演劇の知識が並外れており、
夫の成功させた音楽祭を
自らの手で見事に引き継いでみせた。
それはコジマの父親が、
ワーグナーと同じ時代の作曲家、フランツ・リストだったことが
影響しているのかもしれない。
才能が、才能を呼ぶ。

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佐藤延夫 14年11月1日放送

141101-03

あの人の妻/ミレヴァ・アインシュタイン

アルバート・アインシュタインの妻は、
スイス工科大学の同級生だった。
名前を、ミレヴァ・マリッチという。
学生時代と同様に、結婚してからも
ミレヴァは献身的に夫を支えた。
しかしアインシュタインは、別の女性に夢中になってしまう。
ふたりは離婚し、ミレヴァは子どもの親権と
毎年決まった額の養育費を得た。
アインシュタインがノーベル賞を受賞すると、
険悪だった関係は少しずつ改善されたという。

彼が晩年に残した言葉。

「結婚は、想像力を欠いたブタによって発明されたものだ」

これはアインシュタインの本音なのか、皮肉なのか、照れ隠しなのか。

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佐藤延夫 14年11月1日放送

141101-04

あの人の妻/コンスタンツェ・モーツァルト

偉大な作曲家モーツァルトの妻、コンスタンツェは
悪妻であったと伝えられる。
その手がかりは、
ふたりがやりとりした手紙から分析された。
コンスタンツェは、
軽率なうえに浮ついており、
放蕩で、遊び癖や浪費癖がある・・・。
そうは言っても、モーツァルト自身も
いつも心ここにあらずで
扱いにくいパートナーであったことは窺い知れる。
悪妻という評判が一人歩きを始めたのは、
モーツァルトの死があまりにも早く、
彼女が長生きをしたせいかもしれない。

コンスタンツェは、夫の借金を遺産と相殺しながら
違う男と再婚して、80歳まで生きた。
たくましいことだけは、間違いない。

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