2017 年 7 月 1 日 のアーカイブ

佐藤延夫 17年7月1日放送

170701-01

童謡のこころ 赤とんぼ

童謡「赤とんぼ」。
詩人の三木露風は、
修道院の国語教師をしていた時代に
この歌をつくった。

 夕やけ小やけの 赤とんぼ 負われて見たのは いつの日か

窓の外に見える赤とんぼに、
幼き日の情景が重なる。
母は、家庭をかえりみない父に愛想を尽かし、
まだ小さな自分を祖父に預け、
実家に帰ってしまった。
あのとき、自分をおぶってくれた人、
それは母ではなく、子守娘だった。

今日7月1日は、童謡の日。
人生を切り抜いた歌は、心に響く。

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佐藤延夫 17年7月1日放送

170701-02
mermaid99
童謡のこころ いぬのおまわりさん

童謡の歌詞を考えるのは、難しい。
詞が長いと子どもが覚えられないし、
流行らなければ、意味がない。

「いぬのおまわりさん」を作詞した佐藤義美は、
歌詞が長すぎるという編集者の言葉に耳を塞ぎ、
あらゆる修正を拒否したそうだ。

 まいごのまいごの こねこちゃん あなたのおうちは どこですか

佐藤の狙い通り、この歌は子どもたちの心を掴み、
50年以上経った今でも人気の曲となっている。

今日7月1日は、童謡の日。
簡単に聞こえる歌ほど、作り手の魂が込められている。

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佐藤延夫 17年7月1日放送

170701-03
Paul Hoi
童謡のこころ 月の砂漠

大正時代の画家、加藤まさを。
ロマンチックな乙女の世界を描き、
少女たちから圧倒的な支持を受けた。
結核の療養で訪れた千葉の御宿海岸で、
彼は、童謡「月の砂漠」を書いたと言われている。

 月の砂漠を はるばると 旅の駱駝が ゆきました

9番まで続くこの歌は、
王子と王女の物語になっており、
どこかへ落ち延びていくような寂しさを持つ。
加藤は御宿をたいそう気に入り、余生もこの地で過ごしたという。

今日7月1日は、童謡の日。
童謡は、年をとってから聞くのも味わい深い。

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佐藤延夫 17年7月1日放送

170701-04
野鳥大好き
童謡のこころ 春の小川

童謡、春の小川。
作詞をした高野辰之が住んでいたのは、
東京都渋谷区代々木三丁目。
小田急線の参宮橋から6分ほど歩くと、
彼の住居跡の柱が今も残っている。
この歌のモデルとなった、
宇田川の支流、河骨川。
春になると、スミレやレンゲが咲き誇る
のどかな川べりだったそうだ。

 春の小川は さらさら流る 歌の上手よ いとしき子ども
 声をそろへて 小川の歌を うたへうたへと ささやく如く

これは、春の小川の三番だ。
子どもがいなかった辰野は、
兄の次女を幼女に迎えた。
愛する娘との思い出を描いた三番は、
のちに削除されてしまう。

今日7月1日は、童謡の日。
歌の中に、古き良き日本が眠っています。

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佐藤延夫 17年7月1日放送

170701-05

童謡のこころ 十五夜お月さん

童謡「十五夜お月さん」。
作詞をした野口雨情は、
波乱の人生を送っている。
父の事業が失敗し家督を継いだが、
窮屈な結婚生活に嫌気がさし
妻に別れを告げた。

 十五夜お月さん 母さんに も一度 わたしは 逢いたいな

のちに雨情の息子が、当時の記憶を辿っている。
「あれは、明るい月夜の晩、
 僕は父の着物の袖を握りしめて、母の後ろ姿を見送った。」
樺太に渡り、また事業に失敗し、
失意の中、日本に戻ってきた雨情。
お月様は、どんなふうに見えたのだろう。

今日7月1日は、童謡の日。
嬉しさも、悲しみも、歌の中にある。

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