大きな魚、あるいは瞑想 デイヴィッド・リンチ
伝説の経営者スティーブ・ジョブズ、
世界最高峰のテニス選手ノバク・ジョコビッチ。
彼らに共通している日々の習慣、それは毎日の瞑想。
「エレファントマン」「マルホランド・ドライブ」など
独特の作品世界で知られる映画監督デイヴィッド・リンチもまた、
30年以上に渡り午前と午後の瞑想を欠かさない瞑想者の一人。
撮影現場でも静かな場所を用意して瞑想するという彼は、
瞑想の必要性についてこう語る。
アイデアとは魚のようなものだ。
小さな魚をつかまえるなら、浅瀬にいればいい。
でも大きな魚をつかまえるには、深く潜らなければならない。
2017 年 7 月 15 日 のアーカイブ
三島邦彦 17年7月15日放送
三島邦彦 17年7月15日放送
Sam Soffes
瞑想、あるいはスタイル 村上春樹
映画監督デイヴィッド・リンチが
瞑想によって内なる世界へ
深く潜りアイデアを得るというように、
小説を書くときの精神状態を
井戸や地下室に例える村上春樹もまた、
「深く潜る人」に他ならない。
1982年、インタビューを受けた村上春樹は
小説を書く上で大切にしていることについてこう語った。
ボクの場合、なるたけ、思いを減らそうとしてるのね。
なるたけ文体から始めようと思ってる。
それから35年後、
2017年の村上春樹はこう語る。
僕にとっては文体がほとんどいちばん重要だと思う。
英語で文体はスタイル。
35年に及ぶ深い探求と一貫したスタイルが
村上春樹と読者の間の信頼関係を作っている。
三國菜恵 17年7月15日放送
ryumu
妄想、あるいはエネルギー 横澤夏子
同窓会の帰りにはかならず泣いてしまう。
吉本芸人・横澤夏子は18歳のときに上京。
地元で就職はせず、芸人の道へすすんだ。
彼女が選べなかった方の人生が、彼女はうらやましい。
「地元のOLの友達に負けたくない」という気持ちが、
なぜだかずっとぬぐえない。
大学を卒業して、社会人の肩書きを得ること。
地元の子と結婚して、実家のお墓を守ること。
恋愛に疲れたと言えるほど、たくさん恋愛してみること。
地元に置いてきたものすべてがまぶしく見えるから、
同窓会の帰りにはかならず泣いてしまう。
帰らなければ傷つきはしないけれど、
そこで得る反動のエネルギーが、ふしぎな原動力になる。
三國菜恵 17年7月15日放送
月、あるいはタンパク質 Spiber
クモの糸が繊維になる。
そんな夢のような話を実現させてしまった企業がある。
山形県鶴岡市に拠点を置くカンパニー、Spiber(スパイバー)。
クモの糸の成分であるタンパク質は、
アミノ酸との人工合成によって多様な繊維をうみだせる。
そのポテンシャルに着目して、開発に踏み切った。
石油に変わる繊維として注目され、
2016年には、アウトドアブランドのTHE NORTH FACEと共に
アウタージャケットを開発した。
金色に輝くジャケットは、
MOON PARKAと名付けられた。
持続可能な環境をめざす、人類の夢がそこに光っている。
厚焼玉子 17年7月15日放送
トゥシューズ、或いは空へのあこがれ
400年ほど昔、
バレエの客席が舞台を見おろす構造になっていたときは
誰もダンサーの足など気にしなかった。
220年前、ロンドンシアターではじめてフライングマシーンを使った。
ダンサーはワイヤーの助けを借りて爪先で踊るようになった。
1827年、マリー・タリオーニがはじめて自力で爪先で立って踊り、
空を飛ぶイメージを表現した。
そのときのシューズはただのサテンの布で、
爪先が少し強化されているに過ぎなかった。
しかし、トゥシューズの歴史はここからはじまる。
タリオーニに刺激されたダンサーは技術の向上にはげみ
靴職人はダンサーの要求にこたえていった。
手仕事でつくられるトゥシューズ。
空気のように軽い存在でありたい、
風のように漂いたい、空へ昇りたい。
そんなあこがれのために存在する。