2017 年 9 月 17 日 のアーカイブ

蛭田瑞穂 17年9月17日放送

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美味なるイタリア料理 アントニオ・ラティーニ

1554年、ナポリに一隻のスペイン船が入港した。
この時初めてイタリアにトマトが伝わったと言われている。
その後、トマトは主に観賞用として栽培されることになった。

トマトを初めて料理のソースとして用いたのは
17世紀のナポリの宮廷料理人、アントニオ・ラティーニ。

あぶって細切れにしたトマトを玉葱、胡椒、ピーマンなどと混ぜ、
塩、オリーブオイル、酢で味をととのえる。
これがラティーニの考案したトマトソースのレシピ。

のちの料理人たちがこのソースにさまざまな工夫を加え、
パスタと組み合わせた。
そしてトマトソースは世界でもっとも人気のあるパスタソースとなった。


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蛭田瑞穂 17年9月17日放送

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美味なるイタリア料理 ジョヴァンニ・デル・トゥルコ

多くの人が好む、パスタのアルデンテ。
しかし、17世紀になるまでパスタは
30分から2時間ほども茹でるのがふつうだった。

アルデンテはいつ誕生したのか。

17世紀のフィレンツェの音楽家で、
料理家でもあったジョヴァンニ・デル・トゥルコは
その著書『エプラリオ』の中でこう記している。

 マッケローニは長く茹でないほうがよろしい。
 茹でたあとただちに冷水をかけること。
 それがマッケローニをシャキッと引き締める。


これがアルデンテの起源と言われている。

絶妙にコシの残るおいしいパスタが食べられるのは、
ジョヴァンニさんのおかげかもしれない。


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蛭田瑞穂 17年9月17日放送

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美味なるイタリア料理 ペッレグリーノ・アルトゥージ

19世紀のイタリアの料理研究家ペッレグリーノ・アルトゥージは
イタリア各地をめぐり、古くから伝わる郷土料理に斬新なアレンジを加え、
そのレシピを一冊の本にまとめた。

それが1891年に出版された『料理の科学と美味しく食べる技法』。
本はどの家庭にも一冊あると言われるほど売れた。

中世以降、都市国家が群雄割拠し、
19世紀の末にようやく国家統一を果たしたイタリアにとって、
アルトゥージの本は「ひとつのイタリア」の象徴とも言えた。

その功績により、現在ペッレグリーノ・アルトゥージは
「イタリア料理の父」と呼ばれる。


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佐藤日登美 17年9月17日放送

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美味なるイタリア料理 カルパッチョが生まれた店

ヴェネチア、サンマルコ広場近くに佇むハリーズ・バー。
創業者であるジュゼッペ・チプリアーニは接客の天才だった。

1950年のある日、ハリーズ・バーに常連客の伯爵夫人が訪れた。
彼女は体調を崩したため、
医者から加熱調理した肉を控えるように言われていた。
そんな彼女のために、チプリアーニは特別メニューを作った。

生の仔牛のフィレ肉を薄くそぎ、
その上にレモン果汁とマスタードを加えたマヨネーズソースを
美しくふりかける。

赤い生肉と白いソースの彩りが、
当時活躍していた画家、ヴィットーレ・カルパッチョの作風を思わせ、
その料理は「カルパッチョ」と命名された。

接客の天才は、
料理のアイディアも抜群らしい。


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佐藤日登美 17年9月17日放送

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美味なるイタリア料理 ベリーニが生まれた店

ヴェネチアの名物レストラン、ハリーズ・バー。
ベリーニというカクテルは、この店で生まれた。

搾りたての白桃を3分の1。
イタリア生まれのスパークリングワイン、プロセッコを3分の2。
コツは、搾った白桃を最初にグラスに注ぐこと。

カクテルの名前は、
ルネサンス期の画家、ジョヴァンニ・ベリーニの名前から拝借したという。

30年以上ハリーズ・バーでバーテンダーを務めるクラウディオ・ポンシオは言う。

 お客さまが好むお酒は、時間帯によって変わる。
 でも、ベリーニだけはどんな時間にも、どんな季節にも合う。
 だから結局みんな、ベリーニを飲んじゃうんだ。



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森由里佳 17年9月17日放送

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美味なるイタリア料理 飽きないという驚き

はじめてローマに着いたとき、
シェフ・落合務は「ゴミゴミしたところ」だと思ったそうだ。

フレンチを志していた彼にとって、
イタリア料理はどれも同じでがさつな感じ。

それでも、滞在している数日間、
飽きずに食べている自分に気づいたときの衝撃は、
彼の志を変えるのに十分だったようだ。

 イタリアの飯は、毎日食べても飽きない、
 これは目からウロコだった。
 食事とは本来そういうものだと、初めて気が付いた瞬間だった。



落合務。
今、イタリアンの世界で彼の名を知らない人はいない。


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森由里佳 17年9月17日放送

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美味なるイタリア料理 たった10人の客

イタリア料理どころか、
「パスタ」という言葉さえ知られていなかったときのこと。

シェフ・落合務はイタリアンレストラン「グラナータ」をオープンした。
しかし、それがまったくふるわない。
たった10人しかお客さんが来なかった夜、
ついに自信を失いかけていた落合に、オーナーがこう言った。

「お前は、来てくれた10人を満足させて帰したのか?」

落合はハッとした。

 それまでの僕は「たった10人しか来ない」とボヤくばかりで、
 その10人をいかに満足させるかなんて考えたこともなかったんだ。


心機一転、反省した落合に転機がやってくる。
イタリア政府観光局の人が訪れ、絶賛してくれたのだ。
彼の口コミで、グラナータは名店への道を駆けあがることになった。


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森由里佳 17年9月17日放送

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美味なるイタリア料理 自分のための仕事

イタリアンのシェフ・落合務。
彼が料理をつくるモチベーションは意外なところにあった。

 お客さんに喜んでもらう。でも、そんなのは当たり前のこと。
 何のために働くかというと、自分のためなんだよ。
 お客さんが喜んでくれたら、それが自分の喜びにもなるでしょ。
 ということは、結局、自分のためなわけだよ。
 「世のため、人のため」もいいけど、それも自分のためじゃないと、
 少しうまくいかないだけで誰かのせいにしちゃうからね。



つらい修行を前にしても、
お店に人がこなくても、
落合はずっと戦い抜いてきた。

成功の隠し味は、どうやら自分と向き合う力らしい。


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