2018 年 7 月 28 日 のアーカイブ

村山覚 18年7月28日放送

180728-01
海の印象 クロード・モネ

印象派の画家、クロード・モネは
フランスの港町ルアーブルで育った。
30歳を過ぎた頃、故郷に帰って海を描いた。
タイトルは『印象、日の出』。

きらめく海、朝もやに包まれた空、
昇ったばかりの真っ赤な太陽。
当時の美術界では、ものや人物を
正確に再現した絵が良しとされた。
筆の跡が目立ち、舟も水平線もぼやけた
モネの絵は“印象で書きなぐった落書き”と
揶揄された。

モネは86歳で亡くなるまで、
この世界の印象を明るい色彩で描きつづけた。
刻一刻と変化する海や空、人間や植物が
輝く瞬間をキャンバスに閉じ込めた。

100年以上前のモネの気持ちと、
スマートフォンで海や空を撮影する
私たちの気持ちは、
きっとどこかで繋がっている。


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仲澤南 18年7月28日放送

180728-02
海の工場 間宮

“海に浮かぶお菓子工場”を知っているだろうか。
その名は間宮。
海軍の兵士たちに食糧を補給するために造られた船だ。
1920年代から40年代、海の上の戦場までお菓子を届けた。

間宮は、ただ運搬するだけの船ではない。
“お菓子工場”という呼び名の通り、
船内に製造設備があった。そこにはなんと
60人もの菓子職人が乗り込んでいたらしい。

毎日の食事もままならない戦場に
ひとときの甘い幸せをもたらした間宮。
その姿が見えようものなら、
戦いに疲れた兵士たちは大騒ぎだった。

戦争が激化した1944年、間宮はマニラ沖で沈没。
その40年後、有志の手で慰霊碑が建てられた。
“海に浮かぶお菓子工場”は
その姿が海に沈んだ後も、人の心に残り続けている。



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仲澤南 18年7月28日放送

180728-03
海の舟 勝海舟

幕末から明治にかけて活躍した政治家、勝海舟。
日本が開国を迫られた時代に
世界と対等に渡り合うために力を尽くしたことで知られる。
1860年、軍艦「咸臨丸」による渡米も、彼の功績のひとつ。
幕府としては初めての、太平洋横断だった。

勝は、艦長として乗り込んだ。
しかし、およそ40日間に渡る航海のあいだ、
自分の部屋にこもりきりだったという。
理由は船酔い。さらに、伝染病の疑いまであったそうだ。

長い航海の間、衛生管理が行き届かず、
咸臨丸で伝染病が流行してしまった。
海の上では、逃げ場もない。
艦長の頼りない姿に、共に渡米した福澤諭吉は
ひどく呆れていたという。

海の舟と書き、海舟。
そう自ら名乗った男が、海の舟に酔ってしまうとは、、、
時代の荒波を乗り越えた幕末の英雄も、
本物の波は苦手だったらしい。



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村山覚 18年7月28日放送

180728-04 Photo by Masaaki Komori on Unsplash
海の底へ リンゴ・スター

イギリス北西部の港町で生まれ育った
ジョン、ポール、ジョージ、リンゴ。
言わずと知れた、ザ・ビートルズ。
彼らは海にまつわる曲を何曲か残している。

もっとも有名な曲は「Yellow Submarine」だろう。
リンゴ・スターによる優しくほのぼのとした歌声が
印象的だ。しかし今日ご紹介したいのは
リンゴが作詞作曲を手がけた「Octopus’s Garden」。
ユニークな歌詞と親しみやすいメロディで描かれる
“タコの庭”は、地上のどんな庭よりもハッピーで
居心地が良さそうだ。

解散直前の数年間、4人の仲はギクシャクしていた。
リンゴは一番温厚な性格だったそうだが、
ドラム演奏にケチをつけられて「やめてやる!」と
スタジオから出ていったことも。
そんな悩ましい時期、地中海でバカンスをしていたら
タコ料理が出てきた。“タコは小石や光るものを集めて
海底に庭を作る習性がある”と聞いた彼は、
Octopus’s Gardenに君と行きたいという曲を書いた。

人間関係に悩んだ時、海でひと潜りしてみれば
タコが出迎えてくれるかもしれませんよ。



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福宿桃香 18年7月28日放送

180728-05 co8co8
海で暮らす オーシャンスクレイパー

海の家、といえばビーチにある小さな食事処のこと。
だが「海の中の家」のことはご存知だろうか。

それが未来の都市計画として発表されたのは2年前。
オーシャンスクレイパーと名付けられたその家は
半透明の巨大クラゲのような見た目をしている。
水深1000メートル近くまで縦に長く伸びることで、
なんと2万人が暮らせる空間になるという。

提案者であるベルギーの建築家ヴィンセント・カレボーによれば、
有機廃物を常にリサイクルし、バイオ燃料を生産することで
環境問題を解決。長期的な生活が可能になるそうだ。

この話は、少なくとも現時点では架空のもの。
だが、テクノロジーの進化に期待してしまうのは私だけだろうか。



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