蛭田瑞穂 19年3月10日放送



吉村昭と東京大空襲

作家吉村昭は昭和2年荒川区東日暮里に生まれた。
18歳で終戦を迎えた吉村は
青春時代を東京という街で戦争とともに生きた。

太平洋戦争の末期、度重なる空襲にさらされるうちに
吉村の胸には奇妙な願いがきざした。
それは一日も早く家が空襲で焼けて欲しいというものだった。

東京から逃げ出し、他の地へ移りたい。
そのためには、家が焼ける以外方法がなかった。

青年の心に生まれた倒錯した感情が戦争の悲痛さを物語る。
今日3月10日は、74年前に東京大空襲があった日。

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