2019 年 6 月 23 日 のアーカイブ

厚焼玉子 19年6月23日放送


FreeWings
雨に咲く花 紫陽花

雨が似合う花がある。
たとえば紫陽花。
紫陽花には真上から照りつける太陽が似合わず、
しとしと降る雨のなかで
ホッとやすらいでいるかに見える。

しかし、本当のところ
紫陽花は日陰よりも日向が好きだ。
そのくせ、水切れに弱いので
カンカン日が照って地面がすぐに乾くような場所では
暮らしにくいのだ。

お日さまが好き、雨も好き。
紫陽花は悩める花なのかもしれない。

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厚焼玉子 19年6月23日放送


KYR
雨に咲く花 花菖蒲

花菖蒲は雨というよりも水が似合う花かもしれない。
水辺で見かけることが多い。
江戸時代、野生の花菖蒲は田圃の雑草と見られていたが
抜いてしまうのも哀れだというので
あぜ道に移され、
やがて農家の庭先でも咲くようになったと言われる。

やがて大名や旗本の屋敷の庭で育てられ、
改良され、記録され、
現在、日本の花菖蒲の種類は2000種を超える。

花菖蒲は普通の花壇でも十分に育つが、
花の時期だけはたっぷりの水を必要とする。
雨の時期に咲くというより、
雨の時期でなければ花を咲かせられないのだ。

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厚焼玉子 19年6月23日放送



雨に咲く花 6月のバラ

イギリスで6月といえばバラの季節。
どの家の庭にもバラが咲き、
有名なローズガーデンにはたくさんの人が訪れる。

日本だって6月はバラの季節。
ただイギリスとの違いは雨が多いこと。

湿気が多いと病気も出やすいし、害虫も増える。
薬を撒き、伸びた枝を切り、
8分か9分咲きの段階で花を摘み取り
肥料を与える。

6月はバラの季節。
日本の園芸家は忙しい。

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厚焼玉子 19年6月23日放送



雨に咲く花 クチナシ

梅雨どきの重い空気に
クチナシの甘い香りが混じる。

クチナシの香りは虫を呼び寄せるためだ。
だから、せっかくの香りが
あっという間に空へ抜ける季節よりも
雲が低く垂れ込める時期に咲くのだろう。

 薄月夜 花くちなしの匂いけり  正岡子規

クチナシの香りは夜の方が際立つようだ。

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厚焼玉子 19年6月23日放送


yamatsu
雨に咲く花 睡蓮

雨降る池に睡蓮が白い花を咲かせている。

睡蓮の原種は世界に40種あるのに
日本にはもともと
ヒツジグサと呼ばれる1種類しかなかった。
外国の睡蓮を輸入して品種改良がはじまったのが
明治の頃だ。

日本の睡蓮がヒツジグサと呼ばれるのは
羊の時刻、午後2時頃に咲くからだそうだが、
実際はそこまで寝坊をせず、
お昼頃には咲いている花が見られるようだ。
花の寿命は三日と短いが、
次々に咲くし、雨の日でも休まずに咲く。

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厚焼玉子 19年6月23日放送


ひでわく
雨に咲く花 ビヨウヤナギ

ビヨウヤナギの花の黄色は
雨の中でもパッと目立つ。

ビヨウヤナギは中国から300年前に渡来し、
いまでは公園や緑道に植え込みで
ごく当たり前に見かける。

白居易の長恨歌には
唐の玄宗皇帝が楊貴妃を失ったことを悲しみ、
宮殿の池の蓮を楊貴妃の顔に、
未央(びおう)の宮殿の柳を
楊貴妃の眉にたとえたくだりがある。

そこで柳に似た葉を持つこの花を
日本ではビオウのヤナギ、ビヨウヤナギと
呼ぶようになったという説があるが、
それも定かではない。

雨の中でものを見るようなおぼろな話だ。

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厚焼玉子 19年6月23日放送


たけぽ
雨に咲く花 百合

百合は夏の花。
6月から咲きはじめるので
梅雨の雨に打たれているのを見ることも多い。

山道の緑の斜面から
突き出るように咲く山百合は涼やかで
汗が引く思いがする。

そういえば、泉鏡花の戯曲「夜叉ヶ池」のヒロインは
百合という名前だった。
その名の通り、美しく清楚なヒロインだと記憶する。

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厚焼玉子 19年6月23日放送


KYR
雨に咲く花 夏椿

夏椿は6月、椿に似た白い花を咲かせる。
花の時期は短いが、木そのものが美しい上に
新緑も秋の紅葉も鑑賞に値する。
ひとつ残念なことがあるといえば、
花が1日で落ちてしまうことだ。

夏椿はお寺でよく見かけるが
これには理由がある。
仏教の聖なる木「沙羅」の代用品として
日本では夏椿が植えられていたらしいのだ。

沙羅の木と夏椿が似ているかというと
ちっとも似ていないから不思議だ。

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