2009 年 6 月 20 日 のアーカイブ

保持壮太郎 09年6月20日放送

06_20_1

ジョルジュ・ルメートル


ジョルジュ・ルメートル。

彼は、
宇宙物理学者だった。

同時に
カトリックの司祭でもあった。

科学と宗教。

かねてより干渉や対立を
くりかえしてきた
ふたつの原理が
彼の中には同居していた。
そんなルメートルがとなえた
ひとつの仮説がある。

この宇宙は、
たったひとつの“原始的原子”が
爆発することで生まれた。


のちに“ビックバン理論”と呼ばれる
この科学的かつ神話的な宇宙論は、
ジョルジュ・ルメートルだからこそ、
たどりつけた宇宙に思えてならない。





音楽=ツネオムービープロジェクトhttp://tsuneo.cart.fc2.com/






06_20_2

クリスチャン・ネステル・ボヴィー


最近のセカイは
くりかえしている。
何もかもが
何かの焼き直しみたいで。

カエルの子はカエル。
セレブの子はセレブ。
僕の感じる孤独は、
たぶん父さんの感じた孤独で。
僕が誰かを軽蔑するときの目は、
母さんが僕を見るときの目に似ている。

アメリカの作家、
クリスチャン・ネステル・ボヴィーは

すべてが失われようとも、まだ未来が残ってる。

といったけれど。
もはや僕らは
すべてを失わないことには
あたらしい未来には
出会えない気がする。

まあ、
こんな不安もきっと、
昨日の誰かのくりかえし。




06_20_3

エリック・ドルフィー


音楽は、
いちど聴き終わってしまえば
空中へと消えてしまうもの。
二度とそれを
掴み取ることはできない。


ジャズにおける
即興演奏の可能性を切りひらいた
エリック・ドルフィーの
そんな言葉を耳にするたび、
僕たちは、
苦笑をかみ殺さずにはいられない。

だって僕たちは、
その消えてしまったはずの
音楽ってやつに
いまさら手を伸ばして、
デジタルでマッピングして、
バカ高いアンプとスピーカーで鳴らして、
必死に掴み取ろうとしているのだから。

ほら、こうして。




06_20_4

清水義範(しみずよしのり)


人間のクリエーティビティが
無限だとするならば、
それを有限の世界に
定着させるためにあるのが
“締め切り”の存在だ。

小説家、デザイナー、
エッセイスト、コピーライター・・・。
彼らは、“締め切り”という名のカミソリで、
自らの創作意欲と、可能性と、
未練と、根拠のない自信を切断し、
ひとつの作品としてカタチにする。

小説家、
清水義範が書いた
「深夜の弁明」という短編がある。

それは、締め切りを守れない作家が、
編集者に言い訳とお詫びの文章を書くうちに、
いつしかその弁明が、
小説の予定枚数に達してしまったというもの。

なるほどそうゆう方法もあるのかと、
締め切りから10日遅れで、
このラジオの原稿を書いている深夜の私。




 face in can

チャールズ・R・ダグラス


1953年、
ラジオ技術者の
チャールズ・R・ダグラスが
ひとつの画期的な発明をした。

Canned Laughter
(SE:Canned Laughter)

“缶詰の笑い”
と呼ばれたその道具は、
ボタンひとつで
人工的な笑い声を
発生させることができた。

その後Canned laughterは
またたくまに世の中へと広がり
笑い声が、笑うべきものの存在を
強化し、強制し、捏造するという
シュールなコメディがはじまった。

戦争。
(SE:Canned Laughter)

貧困。
(SE:Canned Laughter)

そして世界の笑えない現実は
何一つ変わらないまま。
(SE:Canned Laughter)




06_20_6

サルバトール・ダリ


天才と聞いて
あなたが思い浮かべる
イメージのいくつかは、
おそらくサルバトール・ダリ
その人のものだ。

不自然なほどに見開いた目、
ピンと跳ね上げて固めたひげ。
フランスパンを頭にのせてリーゼントヘアと称し、
ソルボンヌ大学での特別講演会には
カリフラワーを満載した
真っ白いロールスロイスで乗り付けた。

混乱が一番。偶然は創造性を生み、秩序は退屈だ。

と語る彼にとって
“天才であること”もまた
彼の芸術の一部なのかもしれない。




8

種田山頭火


小学校のころ
担任だった樫村先生は、
たぶん先生には
むいていない人で。

俳句をおしえるときだって、
5・7・5の話も
季語の説明もせずに、
松尾芭蕉や、
小林一茶なんかのページも
すっとばして、
教科書の隅っこに、
ぽつん、と載っていた一句を、
だいじそうに
黒板の真ん中に書いた。

山から風が風鈴へ、生きてゐたいとおもふ
種田山頭火


騒々しかった教室が、
そのときなぜだか、
しん、と静まりかえったのを覚えてる。

みなさん、これが俳句です。

と言って笑った樫村先生。

おかげで僕らは、
学年テストで赤点をとり、
俳句がちょっと好きになった。



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五島のはなし⑨

五島への行き方はわかった。
ビーチや山や祭りや、見どころもちょっとだけわかった。
で、夜はどう過ごせばいいのよ?
という声(もちろんそんな声あがってませんが)にお応えして、
今日は福江島のナイトスポットをご紹介します。

まず、ごはん。
いい店は、町を歩いている人に聞いてみてください。
ふれあいも生まれますし。
・・・すみません実は18までしか島にいなかったからあんまり外食してないんです。

そしてごはんが済んで、ちょっとお酒でもと思ったら
迷わず「ロイヤルパブ・シャーロック」に行ってください。
福江には人口と同じくらいの数のスナックがありますが、
パブはない気がします。なのにパブを通り越して、ロイヤルパブですから。
楽しいお店です。島の伝説から素潜り漁のことまで。
女性たちの話が抜群におもしろいです。そしてリーズナブルです。

シャーロックをのぞいてみて、もうちょっと静かな雰囲気で飲みたいな
と思ったら、シャーロックの2号店「クラブ・ホームズ」をお勧めします。
クラブです。ウイスキーグラスに入った氷のカランコロン音とともに、
ふけてゆく島の夜を堪能できます。

余談ですが、シャーロックが2号店を出すことになったとき、
「あんた東京でコピーライターなんかしよるけん名前ば考えて」と頼まれました。
シャーロックの姉妹店か・・・僕は迷わず「ワトソン」と言いました。
数日後「名前は、ホームズに決まったけん」と伝えられました。
へこみました。

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