2009 年 8 月 19 日 のアーカイブ

五島のはなし(31)

五島のことが好きな大きな理由は、海です。
海というか「獲物」と言ってもよいかもしれません。
実家に帰っている間は、とにかく海に行きまくります。
毎年欠かさないのが、兄と釣り歩く「あらかぶ」。
東京ではカサゴと呼ばれる魚です。

僕はこのあらかぶという魚を愛していて、
その愛を言葉にするのは難しいです。
姿、色、味、住んでる場所、生き方。
すべてを愛しています。
そもそも名前がいいです。「あらかぶ」。
なんかこう、ニッポン古来の強さ、みたいな響きです。
ますらおぶり、みたいな。

あらかぶは、海岸の岩と岩の間に隠れ住んでいて
それを釣り歩きます。エサはキビナゴかイカの切り身。
あらかぶは、用心深い魚ではないので
住みかさえ見つければわりと簡単に釣れます。
大きな口をあけて、岩陰からドバッと出てきて、エサをひとのみします。
小さなことは気にせず、大きな口をあけて、思いっきりエサにとびつく。
その姿勢が、小心者の僕に、あこがれのような感情をもたらします。
釣ったあらかぶは、たいていお味噌汁にして食べます。
これがまたうまい。

太陽が高く昇れば、暑いので泳ぎに行きます。
海に入れば子どものころからの習性でつい獲物をさがしてしまいます。
最近は魚介類を捕ってはいけない場所が多いので、
そういう場所で捕らないように気をつけていますが。

泳いでいてサザエを見つけるとうれしいですが
それよりうれしいのはタコです。
タコは岩と岩の間に隠れているのですが、
こちらが近づくとパッと体の色を変えて
「私はタコではありません。岩です。」みたいな主張をします。
僕は僕で、「私はあなたがタコだと気づいてません。ただの海水浴客です。」という
ふりをして近づき、一気につかまえます。
今年もそんな出会いがありました。

  • あらかぶ

    あらかぶ

  • さざえ

    さざえ


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五島のはなし(30)

五島では8月13,14,15のお盆の3日間、
夕方になるとみんながお墓に集まります。

通常、まず12日にお墓に行って、墓石や敷地の大掃除をやって、
それから「灯籠掛け」と呼ばれる、木材でできた枠組みを
墓石の前、もしくは墓石を囲むように組み立てます。
そして13日には、その灯籠掛けに提灯をぶらさげて灯りをともします。

灯りをともしたら、線香をたてて、そのあとは親戚のお墓に
線香をたてに回ります。
それぞれの親戚のお墓にもそれぞれの家族が集まっているので、
近況を報告しあい、だらだらとしゃべります。
おじさん、おばさんが元気にしてたのか、
いとこたちが今どこで何をやっているのか、
甥や姪やはとこたちはどのくらい大きくなったのか、
いまどこで魚が釣れているのか、
を知る場であり、新しい孫たちのお披露目の場でもあります。

子どもたちは話なんかに興味はないので、
みんな花火をやってます。墓の敷地の中で、
すべての子どもが花火をやっているので煙くってしょうがありません。
爆竹がひっきりなしに鳴り、矢がびゅんびゅん飛ぶので
ご先祖様もさぞ落ち着かないだろうと思うのですが、
とにかくそういう感じです。子どもらはお年玉のように
親戚から「花火代」をもらいます。
僕も子どものころはこの花火が楽しみでなりませんでした。
が、いまは煙くてうるさくてしょうがありません。

そうやって、だいたい夕方5時過ぎから7時過ぎまで、
だら~っとお墓にいます。お墓は海のそばか、河のそばか、
お寺のまわりかそんなとこに広がっていて、
たくさんあるお墓のほぼすべてが提灯で覆われているので
日が暮れて、墓のあたりを遠くから眺めると、とてもきれいです。

ひときわたくさんの提灯をともしている墓は、
この1年に家族の誰かが亡くなった家(初盆)の墓です。
初盆を迎えた家族は、まわりの人たちが帰った後も墓に残っています。
僕ももう何度か初盆を経験しましたが、
真っ暗になっても、もうちょっと墓にいようよ、という気分になります。

  • 灯籠掛け

    灯籠掛け

  • 初盆の家は遅くまで

    初盆の家は遅くまで

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