澁江俊一 14年3月2日放送



受験生のための言葉

ああ、試験はいやだ。
人間の価値が、わずか一時間や二時間の試験で、
どしどし決定せられるというのは、恐ろしい事だ。
それは、神を犯す事だ。
試験官は、みんな地獄へ行くだろう。

太宰治の小説「正義と微笑(せいぎとびしょう)」の
主人公「僕」の言葉だ。
彼が慕う若き教師、黒田先生はこう語った。

 日常の生活に
 直接役に立たないような勉強こそ、
 将来、君たちの人格を完成させるのだ。
 何も自分の知識を誇る必要はない。
 勉強して、それから、
 けろりと忘れてもいいんだ。
 覚えるということが大事なのではなくて、
 大事なのは、カルチベートされるということなんだ。
 カルチュアというのは、
 公式や単語をたくさん暗記している事でなくて、
 心を広く持つという事なんだ。
 つまり、愛するという事を知る事だ。

迷いながら生きる16歳の主人公の心に
深く届いたこの言葉。
今日もがんばる受験生にも
届きますように。

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