2014 年 5 月 17 日 のアーカイブ

道山智之 14年5月17日放送

140517-01
JBOY
中村八大1

作曲家、中村八大。

日曜の夕方になると流れてくる「笑点」のオープニングテーマ。
あのメロディは、「上を向いて歩こう」で有名な、
ジャズピアニストにして作曲家、
中村八大がつくったものだ。

底抜けに明るいメロディの中に、
ひそむブルージーな気配。
饒舌なミュート・トランペット。
純和風な曲に見えて、じつはジャズのエッセンスがひそむ。

日曜の終わりに感じる、そこはかとないせつなさに、
あの曲は一役買っているのかもしれない。

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道山智之 14年5月17日放送

140517-02
ForestWander
中村八大2

作曲家、中村八大。

彼が作曲した「上を向いて歩こう」が
「SUKIYAKI」として全米チャート1位になったのは、51年前。
作詞家・永六輔、歌手・坂本九とともに
成しとげた快挙だ。

ビルボードチャートで、
3週連続1位を記録。
アメリカでの売り上げが100万枚に達し、
翌年全米レコード協会のゴールドディスクを受賞した。
日本のみならず、アジアの歌手が
ビルボード1位になったのは、いまだにこのときだけである。

震災後の日本でも
人々を力づけてきたこの曲は、
自分の心をそっとかえりみるような繊細さと
やさしさをたたえている。

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道山智之 14年5月17日放送

140517-03

中村八大3

作曲家、中村八大。

1959年の初夏、彼は映画につかう歌を8曲、
翌日までに書き上げる仕事を頼まれた。

ジャズピアニストだった彼は、
コンビを組む作詞家のあてもなく、有楽町の日劇の前の交差点を渡る。
そのとき偶然、通りのむこうから
歩いてきたのは、顔見知りの永六輔だった。

すぐに八大は、作詞の経験がなかった六輔を口説き、
自分の部屋につれていき徹夜で8曲を作り上げた。

それは、
2年後に「上を向いて歩こう」を世に送り出す「六八コンビ」が誕生した瞬間だった。
歩いてさえいれば、運命はむこうからやってくることがある。

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道山智之 14年5月17日放送

140517-04
JFXie
中村八大4

作曲家、中村八大。

彼は10歳のとき、
「荒城の月」と「さくらさくら」を聞いて涙を流し、
生涯をかけて大音楽家になろうと誓った。

そして人気ジャズピアニストとして多忙を極めていた
22歳のときには、メモにこう記した。

「中村八大は他から作られず、自分で完成させる物也。
    (中略)
 中村八大は誰よりも苦しく、誰よりも幸せでなければならない。
    (中略)
 右の通り決定する。」

いそがしい中でも、自分のやりたいことを見失わず、
日々つくりあげていく。

その決意こそが、のちに彼を作曲家にし、
「上を向いて歩こう」「遠くへ行きたい」など、
後世にのこる名曲を送り出すエネルギーとなったにちがいない。

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