2014 年 5 月 4 日 のアーカイブ

大友美有紀 14年5月4日放送

140504-06
liborkriz
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」 ダスティン・ホフマン

アクターズ・スタジオ・インタビューは、
俳優たちが、自分の演技をどうつくり上げて行くかを語る。
ダスティン・ホフマンは、
演技においては俳優は自分自身のより深い罪と向き合うことだと言う。

 演技は、いや、どんな芸術も、平常の暮らしのなかではできないかも
 しれなことをやることだ。つまり、私たちは疵物だ。それが種の名前だ。
 疵、疵、疵、疵だらけだ。自分の体のどっか熱いところ、
 深い所でイヤなところに触ったら、意識的でなくても、
 それから飛び跳ねて降りる。
 自分たちの嫌な面、自身の鬼は知りたくない。

そう言って間を取り、遠くを見つめ、静かに続けた。
 
 演技の仕事をするってことは、そうした鬼と握手することなんだ。

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大友美有紀 14年5月4日放送

140504-011
Angela Rutherford
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」 ルール

ニュー・ヨーク、アクターズ・スタジオ・ドラマ・スクールで
セッションとして行われた伝説の番組。
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」。

そもそもは、ドラマ・スクールの
カリキュラムの一クラスだった。
学部長のジェームズ・リプトンが、
俳優たちが実戦してきた技芸について聞き出し、
それを学生の教育に役立てる。

 インタビューのテーマは、
 演技と芸術、そのための技術について。
 ゴシップは扱わない。
 予備インタビューはしない、台本もなし。

ワークショップとしてのスタートだったからこそ、
偉大なる俳優たちの思いを知ることができたのだ。

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大友美有紀 14年5月4日放送

140504-02
Gê.♥
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」 ポール・ニューマン

1994年アクターズ・スタジオ・インタビューで、
ポール・ニューマンは才能だけでは不十分だと語った。

 ぼくは、たくさんの才能豊かな人を見てきた。
 直感が鋭くいろんな芸の手を必要に応じて
 すぐに引き出せるって人たちをね。
 しかも、彼らはそれで充分だと思っている。
 充分じゃないんだよ!
 それにさらに磨きをかけて最高の高みに
 作り上げて行くという烈々たる決意が
 加わらない限り、自分をごまかして
 だめにしてしまう。

そういう人たちに一番腹を立てているのは、自分だと言った。
ポール・ニューマンは、自分には才能がなかったと考えていた。

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大友美有紀 14年5月4日放送

140504-03
olebrat
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」 ハリソン・フォード

2000年、ハリソン・フォードがアクターズ・スタジオ・インタビュー
に来た時、彼の経歴は完全無比だった。
雑誌「エンパイア」の史上トップ百人の映画スターのリスト上、第1位。
彼は、ハン・ソロであり、インディ・ジョーンズだった。
それなのに、彼は見るからに怯えていた。
自分に対する期待の大きさを知っていたのだ。
ある学生が彼のプライベートな部分が
役を演じる際の邪魔にならないかと質問した。 

 僕は私生活では私人ですけど、仕事の上では観客が
 全面的かつトータルなアクセスをしてくることを期待している。
 人前で喜んで生きて見せなきゃいけない。
 人によいところ、悪いところ、醜いところ、弱いところ、
 強いところを見せる。矛盾も嫌な面も。
 それを進んでやれなきゃいけない。
 僕にとって、映画の素晴らしさは、演技により報われることは、
 演技して満足感を覚えることは、感情のエクササイズの機会があること。
 自分を投入して本当の感情が生まれてくるってことなんだ。

彼の演じるアクション・ヒーローは弱点がある。
それが、観客との感情的な繋がりをつくっている。
インタビューで怯えていたのも、自分をさらけ出したからこそだった。

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大友美有紀 14年5月4日放送

140504-041
Debris2008
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」 スパイク・リー

スパイク・リーはアクターズ・スタジオ・インタビューで、
500人の観衆の前で涙を流した。
それは映画「マルコムX」が資金不足で監督を解雇になった時、
マジック・ジョンソンをはじめ多くのアフリカ系アメリカ人が
援助してくれたエピソードを語ったときだ。

 ぼくは、マルコムの弟子でありたいと思っていた。
 彼はいつだって自助努力を提唱してきた人だ。
 黒人たちは充分に力やパワーを持っている。
 だから自分たち自身に依存することから
 はじめなきゃいけないんだってね。
 税金対策にもならないのに、
 多くの人が小切手を切ってくれた。
 みんな、この映画が非常に大事な映画だとわかっていたんだ。

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大友美有紀 14年5月4日放送

140504-051
Thomas Hawk
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」 クリント・イーストウッド

アクターズ・スタジオ・インタビューに来るゲストたちは、
クリント・イーストウッドのテイクの始め方と終わり方をよく話題にしていた。
彼は「アクション」とも「カット」とも言わない。

クリントは、それは「ローハイド」からはじまったことだという。
馬に乗っている男たちが4人。隣り合って並ばなければいけない。
クローズアップで撮るのは難しいショットだ。
先端にマイクをつけた棒がビュンビュンふられる。
馬はこれが嫌いだ、イライラし出している。
やっと4頭の馬がワンショットに入りそうになったその瞬間、
男がメガホンの大音声で叫ぶ「アクション!」。
馬はてんでに好きな方向に駆け出した。
 
 どうだろ、アクションって怒鳴らないでやってみては?
 何か他のことを言ったらって僕は言ったんだ。
 でもどうしてもそうはやってもらえなかった。
 俳優は馬じゃない。だけど彼らにだって中枢の神経系統はあるんだ。
 しかも、みんな撮るシーンについて懸念を抱いて待ってる。
 それなのに「アクション」と叫ぶとアドレナリンの量は上がる。
 血圧は上がるで、最高の状態ではない。
 だから、僕はただ「オーケー、いつでもどうぞ、行こう」って言い、
 終わると「ストップ、ありがとう」とか
 「くだらんやつはそこまで」とか
 言うんだ。

彼の映画が多くのアカデミー賞を産む理由がここにあるのかもしれない。

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大友美有紀 14年5月4日放送

140504-07
Alan Light
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」 トム・クルーズ

アクターズ・スタジオ・インタビューで何度も話題になるのは、
「親の喪失」というテーマだ。
トム・クルーズも彼の人生のほとんど全般にわたって父親は不在だった。
21歳の時、病院で命を終えようとしている父親に再会した。

 手を握ったら親父が言った。
 おいステーキ食いに行こう。こんな病気治ってみせるから。
 ぼくは、ただ彼を愛している、起きたことはしょうがない、
 過去は過去だよって伝えたかった。
 それはとても強烈だった。

トムと父は、それきり会うことはなかった。

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大友美有紀 14年5月4日放送

140504-08
quicheisinsane
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」 ジョニー・デップ

ジョニー・デップは、アクターズ・スタジオ・インタビューで、
役を選ぶことについて語った。

 商品でいることに居心地が悪かったんだ。
 我慢できなかった。閉所恐怖症を感じちゃってね。
 だから腹を決めたんだ。
 自分の道は自分で決める、それから絶対はずれないようにする。
 たとえ失敗しても、失敗したってだけのこと。
 努力はしようと。いつだってギター弾きや
 ガソリンスタンドのお兄さんに戻るだけのことだ。

 

自分の仕事にすっかり満足して、どっかの境地に行き着いた、
勝ち取ったって思ったら、それは俳優の死だ思う、とも言う。

アクターズ・スタジオでは、学生のために俳優たちは正直に語る。
だからこそ、多くの人が感銘を受けてきた。 

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