森由里佳 14年12月7日放送

141207-05

贈り物⑤ 井上ひさし

井上ひさしの戯曲は、
社会や人間への不満・疑問を投げかける中で、
必ず、笑いを含んでいる。
その理由の一つに、こんなことがある。

 人間の愚かさが誰かに注意されて改まるならば、
 悲しみや怒りではなく、
 笑いによって注意を下されるべきではないだろうか。

耳を塞がれがちな意見や不満を、
笑いという「贈り物」に変える。
そうすれば、心ない観客が見ても、
それはきちんと楽しまれる。

一方で、心ある観客には宿題を残すのが井上戯曲。
それは、「あなたはどうだ?」という問いだ。
その問いが放つ心の波紋こそが、
井上からの最高の贈り物だといえるだろう。

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