2014 年 12 月 20 日 のアーカイブ

大友美有紀 14年12月20日放送

141220-01
nettsu
「ティファニー」ティファニー・ブルー

ニューヨーク五番街、女性たちが憧れるジュエラー、ティファニー。
クリスマスに、ティファニーのブルーボックスを
プレゼントされるのは、女の子のひとつの夢。

ティファニー・ブルーは、
コマドリの卵の色を表している、とも言われている。
アメリカ東部で、コマドリは「春告げ鳥」である。
暗く長い冬が終わり、ようやくやってくる明るくて暖かな春。
コマドリの卵は、春の喜びの色。

創業者のチャールズ・ルイス・ティファニーの祖先は、
英国から渡ってきた清教徒だった。
開拓をくり返し、新天地を求めて移動を続けた家族の歴史、
苦難の時代をチャールズはよく知っていた。
辛い時代から、穏やかな日々へ至る道のり。
その喜びをよく知っていたのだ。

 ティファニーが送り出すジュエリーは、
 それを手にする人にとって、
 いつも「春の喜び」であってほしい。

美しいティファニー・ブルーには、
そんな願いがこめられている。

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大友美有紀 14年12月20日放送

141220-02
Kent-Chen
「ティファニー」ティファニー・セッティング

クリスマスの夜。
キャンドルの灯るテーブルで
ディナーを楽しみながら語り合う恋人たち。
彼氏がそっと差し出したのは、ブルーのボックス。
その中には、ダイアモンド。そしてプロポーズ。
映画や少女漫画に登場しそうなロマンティックなシーン。

ティファニーのエンゲージメントリングは、
シンプルで、だからこそ美しい。
ティファニー・セッティングという
6本爪でダイアモンドを支える指輪。
1886年に創業者のチャールズ・ティファニーが考案した。
それまでリングに埋められていたダイアモンドを
爪で持ち上げ、あらゆる角度から見えるようにデザインした。

 爪はできるだけ小さく
 光はできるだけ取り入れる
 真実の愛にふさわしい
 永遠のシンボル

ダイアモンドの全貌を余すところなく見せる。
それはティファニーの公明正大さを表している、とも言える。
清教徒の理想をダイアモンドを通じて世界に伝えたのだ。

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大友美有紀 14年12月20日放送

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hyperion327
「ティファニー」ルイス・C・ティファニーのギフト

19世紀末アメリカの家庭で一大ブームとなったランプがあった。
シェード部分にステンドグラスの技法を用いた
ティファニー・ランプ。
チャールズ・ティファニーの息子、
ルイス・コンフォート・ティファニーが世に送り出した。

ルイスは、若い頃、画家を目指してヨーロッパへ留学。
その後、ガラス工芸に出会い、
アメリカに戻って工房を立ち上げる。
数多くのステンドグラス作品を手がけ、
玉虫色に輝くファブリルガラスを発明した。
ルイスのデザインには植物や昆虫、風景など、
自然をモチーフにしたものが多くある。
彼は、アメリカのアール・ヌーヴォーの第1人者となった。

その頃、アメリカの家庭には、美しい装飾品はなかった。
ルイスは1点ものの芸術作品を創ることよりも
ガラス製品の事業化に熱意を傾けていく。
花瓶やランプなどの実用品を、手が届く値段で販売したのだ。
 
 私はアメリカの家庭を美的に啓蒙したかった

ただの事業ではなく、美の理想の実現を追求する。
それはルイスからアメリカへのギフトだったのだろう。

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大友美有紀 14年12月20日放送

141220-04
ZakVTA
「ティファニー」オープンハート

クリスマス・プレゼントにティファニーの何がほしい?
と聞くと、オープンハートとこたえる女性は、多い。
定番で、飽きがこないから。
いくつになってもつけられるから。

1974年ティファニーのジュエリー・デザイナーとなった
エルサ・ペレッティは、ヘンリー・ムーアの作品から、
オープンハートの着想を得たという。
空洞を持つ抽象的な彫刻、
純粋で滑らかなライン、
記憶を呼び覚ますような官能的なカタチ。
そこから生まれた洗練されたフォルムと
感傷を排したシンプルなデザインの
オープンハート。

エルサ・ペレッティは、語る。
 
 ジュエリーはファッションではない。
 流行にとらわれずに不変でなければならない。

エルサは20世紀のジュエリーデザインに
大きな変革を引き起こし、世界中の人を魅了した。
そして彼女の言葉通り、不変であり、
今なお愛されている。

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