2016 年 6 月 12 日 のアーカイブ

松岡康 16年6月12日放送

160612-01 kiki ☆
批判する人々

世界初の消しゴム版画家ナンシー関。
その独特な視点で
多くの有名人の批評を展開した彼女は
こう語っていた。

 私たち見ている側は、
 口ではスターを待ち望んでいると言いながら、
 一方でそれを阻んでいる。
 うっとり眺めているよりも、
 引きずり降ろして咀嚼する楽しみを
 習慣づけてしまった。


ネット時代となった今、
政治家やタレントなどの
ちょっとした言動に対しても、
批判が一気に押し寄せる。

ナンシーは、そんな時代の到来を
ずっと前から予言していた。

彼女が世を去って14年が過ぎた。
誰もが批評家となった日本を、
ナンシーが見たら何と言うだろう。


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奥村広乃 16年6月12日放送

160612-02 CeciliaC
辛口の優しさ

世界初の消しゴム版画家にして
すぐれたTVコラムを書き続けた、ナンシー関。
今日は彼女の命日である。

彼女の書くコラムは、ときに辛口だと評される。
しかし、リリー・フランキーは
辛口だと思ったことがないという。

 僕らが頭や心の中で、
 言葉や文字にできずにいることを
 手に取って並べ換えて、
 それは、こういうことなんじゃないの?
 と教えてくれる


それが、ナンシー関の書くコラム。

無意味な褒め言葉は使わない。
けれど、たんなる悪口もいわない。

巧みな文章と、
味わい深い消しゴムハンコで
綴られたコラムの数々は鋭くも、
相手への想いに満ちている。


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澁江俊一 16年6月12日放送

160612-03 Saku Takakusaki
懐疑的であれ

世界初の消しゴム版画家にして
すぐれたTVコラムを書き続けた、ナンシー関。
今日は彼女の命日である。

テレビを見ながら
そこにうごめく人間もようを観察し
思いもよらない言葉を与えて読者を共感させながら、
そんな自分に、どこか懐疑的でもあった。
彼女のコラムは、多くの作家も魅了した。

ナンシーのファンだと公言する作家、
宮部みゆきはこう語る。

 ナンシーさんが亡くなった時
 司馬遼太郎さんが亡くなった時と
 同じくらいの喪失感があった。
 もう読めなくなると思うと、心細くなった。


「批評とは竟に己れの夢を
懐疑的に語る事ではないのか」
そう語った小林秀雄にならえば、
ナンシー関こそ、
本物のテレビ批評家だったのだ。


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松岡康 16年6月12日放送

160612-04
アートとしての消しゴムハンコ

世界初の消しゴム版画家、ナンシー関。
今日は彼女の命日である。

消しゴムハンコのための消しゴム「はんけしくん」。
老舗消しゴムメーカーのヒノデワシ株式会社と
ナンシー関とが共同で開発した。

それまで普通の消しゴムを使って
ハンコを作っていたナンシー関。
素材を徹底的に改良することで、
ちょっと固めで彫りやすい
消しゴムが生まれた。

専用の商品が生まれたことで、
消しゴムハンコは、アートになった。

商品が開発されて21年。
今では多くの消しゴムはんこ作家が
プロとして活躍している。


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澁江俊一 16年6月12日放送

160612-05 ひでわく
テレビを見破る

世界初の消しゴム版画家、ナンシー関。
今日は彼女の命日である。

消しゴム版画だけでなく、
日々無数の番組を流し続けるテレビを
徹底的に観察して、
見事なコラムにするという
稀有な才能も持ち合わせていたナンシー。

 見えるものしか見ない。
 でも目を皿のようにして見る。
 そして見破る。


そう語る彼女の、
厳しくも愛のあるコラムは
多くのテレビマンに恐れられ、
また彼らを虜にもした。

あるテレビプロデューサーはこう語る。
「はやく第二のナンシーさんが現れないと、
テレビの制作現場が健全にならないんじゃないか、
と心配しています」

14年ぶりに今のテレビを見たら、
ナンシーはどんな言葉をぶつけるのか。


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礒部建多 16年6月12日放送

160612-06 OiMax
ナンシー関の名付け親

世界初の消しゴム版画家にして
すぐれたTVコラムを書き続けた、ナンシー関。
今日は彼女の命日である。

多くの人がナンシーの
その辛口な書評を讃える中、
作家のいとうせいこうは、
こう追悼の意を表している。

 自らの身辺もきれいでユーモラスで、
 意地悪のようでいながら
 おおらかに優しい人が一人いなくなった。


ナンシーの稀有な才能を発掘し、
名付けたのはいとう本人だった。
テレビを鋭く批評する言葉の裏には
生みの親にしか見せない、
優しさがあったのかもしれない。


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奥村広乃 16年6月12日放送

160612-07
ナンシー関とカラオケ

世界初の消しゴム版画家、ナンシー関。
今日は彼女の命日である。

 カラオケとは人格なんだね。
 と、ナンシーは言う。


カラオケは上手い下手よりも、
なにを歌うかが気になる。
その選曲によって、
人となりも
その集団の中のポジションも
なんとなくわかってしまうから。

周りの人にそんなに観察されるなら、
カラオケは娯楽じゃない、怖いものだと
彼女は笑って語った。

マイナーコードの
圧倒的に暗い曲を好んで歌ったというナンシー。
彼女の歌はとても上手だったという。


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礒部建多 16年6月12日放送

160612-08 Fabio Sola Penna
ナンシー関の成功

世界初の消しゴム版画家、ナンシー関。
今日は彼女の命日である。

この世界で成功するためには、
 平凡な幸せを望んじゃいけない。

そう語るナンシーは、人生を仕事に捧げた。

膨大な量の連載を抱えながら、
1日15時間以上も寝ずにテレビ鑑賞。
過度なストレスと、不規則な生活。
39歳でこの世を去った。

死後14年経過しても、
命を削りながら生み出した作品たちは、
多くの人々に愛されつづけている。

ナンシーにとって、これは
思い描いていた
一つの成功なのかもしれない。


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