2016 年 7 月 2 日 のアーカイブ

佐藤延夫 16年7月2日放送

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追悼モハメド・アリ

2016年6月3日。
時代に君臨したボクサーが、この世を去った。
モハメド・アリ。
引退したのは35年も前になるが、
それでもなお、彼は世界のどこかに居た。
湾岸戦争ではイラクに渡り、人質解放に力を尽くした。
アトランタオリンピックのときは、
パーキンソン病で手を震わせながら聖火台に立っていた。
そんな彼の言葉だ。

「私は神話をつくり、神話の中で生きる」

男が死んでも、モハメド・アリという神話は、永遠に生き続ける。


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佐藤延夫 16年7月2日放送

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追悼モハメド・アリ

モハメド・アリは、ボクシングを始めた12歳のときから
美しく闘いたいと思っていた。
相手のパンチを貰わずに勝つ方法を考え、
誰よりも速いフットワークを手に入れた。
醜いガードで顔を覆いたくないから、
両方の腕はダラリと下げたまま。
世界で最も華麗なボクサーは、
こんな言葉を残した。

「チャンピオンは、ジムで作られるものじゃない。
 彼らの奥深くにある〝何か〟で作られるんだ。
 たとえば、願望、夢、ビジョン。」


モハメド・アリをつくったもの。
それは、白人に屈してきた黒人たちの歴史かもしれない。


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佐藤延夫 16年7月2日放送

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追悼モハメド・アリ

モハメド・アリが、まだカシアス・クレイと名乗っていたころ。
対戦相手を挑発し、罵り、KOまで予告するので、
ホラ吹きクレイと呼ばれていた。
もちろん、大口を叩くのにも理由があった。
多くの人が注目し、
野次が飛ぶほど人気も上がるからだ。
もちろん、自分の言葉が生んだプレッシャーを力に変える。
それだけの実力は持ち合わせていた。
モハメド・アリは言う。

「リスクを選ぶ勇気がない者は、人生において何も達成することができない」

耳が痛いほど、人生に当てはまる。


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佐藤延夫 16年7月2日放送

160702-04 RV1864
追悼モハメド・アリ

男は、栄光を捨てる。
ローマ・オリンピックで手にいれた金メダルは、
レストランで人種差別を受けたあと、オハイオ川に放り投げた。
そんな逸話が残っている。

ベトナム戦争で徴兵を拒んだときには、
世界ヘビー級のタイトルだけでなく、
ボクサーとしてのライセンスも捨てる羽目になった。
それまで得た信用も、収入源も失った。
しかし、彼には信仰があった。信念があった。

反戦集会でマイクを握り、
戦争の愚かさと人間の平等を学生たちに説いてまわった。
捨てた栄光の代わりに、違うものを見つけた。

「想像力のない奴に、翼は持てない。」

彼の言葉が、心に刺さる。


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佐藤延夫 16年7月2日放送

160702-05 jeso.carneiro
追悼モハメド・アリ

もしもボクサーに1年のブランクがあったら、
7割ほどしか実力が戻らないという。
世界最強の男と言われたモハメド・アリさえも
政治的な理由でタイトルを失ったあと、
永遠にも思える空白期間を送った。

3年7ヶ月ぶりのリング。
カムバック戦の会場は、黒人のファンで埋め尽くされた。
そして、白人の選手を簡単に倒した。

「不可能とは、誰かに決めつけられることではない。
 不可能とは、可能性だ。
 不可能とは、通過点だ。
 不可能なんて、ありえない。」


モハメド・アリは、強い。その言葉も。


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